4月27日より新宿K'sシネマ等で公開される、
スペイン映画「朝食、昼食、そして夕食」。
原題は「18comidas」、18の食事という意味。
さまざまな、なおかつ何らかつながりのある人たちの、
とある1日を、3食の食卓を中心にオムニバスで描いている。
いくら電話しても家に来てくれない彼女を、
朝昼晩と食事を作っては待つ脇役俳優、
昔、互いに愛し合っていたのに、他の男と結婚し、子供もいる主婦から
久しぶりに連絡が入り昼食に誘われるストリート・ミュージシャン、
親子ほど年の離れた恋人がいるが若い男と一夜を過ごした女など、
それぞれの人生が、なかなか小気味良く描かれている。
特におもしろかったのは、同棲しているゲイカップルかな。
昼食を食べに来た兄に、最初はゲイであることを隠す弱々しいタイプの弟だが、
マッチョな恋人の言動はもう火を見るより明らか。
ショックを受け理解を示さない兄に、ジレて泣きべそをかく弟。
おかしいようなせつないような。
一言も会話を発さず、淡々黙々と3食を食べる老夫婦が
出てくるのもアクセントになっている。
小さな台所で壁に片側を寄せた小さなダイニングテーブル、
質素な食事、グラスを持ったりオーブンの扉を閉めたりする時に
アップになるシワだらけの手が2人の長い歴史を物語っている。
ダイニングの外、つまり街の音(鳥のさえずりや車の喧噪など)が
さりげなく背景に入っているのも日常の食卓のリアル感が出ていて良かった。
結局、人はどこまでもエゴイストであり、食卓はその我が出る象徴の場だと思った。
人を食事に誘ったり、美味しいものを食べさせたいと思うのも、
それはつまるところエゴである気がする。
この映画はそんなことテーマにしていないかもしれないが、私はそうとらえた。
ただ、パンフなどのキャッチに「やっぱり人生は最高のスパイス!」と
つけられているのだが、んーこれはよくわからん。
人生=スパイスなんだったら、
それを振りかける根幹となるものは人生以外の何になるんだろうか?
はじめまして
返信削除日本だと雰囲気が悪くなりそうだと口を閉ざしてしまいがちですが、スペイン人は思っていることを伝えないのは不誠実と考えるせいか?どうしても口論になってしまいますね そういう違いも楽しめる映画でした もちろん美味しそうな食事も
それこそcomida=人生のスパイス ですよね?
またお邪魔します
コメントありがとうございます。
削除そうですね、違いがおもしろいのとともに、逆に共通点というか、みんな意外と戸惑って言えないシャイな部分ももちあわせているのだな、とも私は思いました。