2013年6月25日火曜日

ブルーノート東京 タブロイド (渡辺貞夫)





まいど宣伝でございます。

ブルーノート東京のタブロイド最新版、
今回はサックスプレーヤーの渡辺貞夫さんにインタビューしました。

場所は西麻布の交差点近くの古民家バー「葡呑(ぶのん)」にて。

渡辺さん・・・って言うとアタクシとしては落ち着かないので
貞夫さんと書かせてもらいますが、
御年80歳だそう。
いや~若いなあ。
このたび、25年ぶりにブラジルでレコーディング。
初めてのブラジルレコーディングは更にさかのぼること20年の1968年。
当時の音楽シーンを私はリアルタイムでは知らないが、
ボサノヴァやジャズサンバのブームを日本にもたらした立役者であり、
そのような人が今こうして現役バリバリでやっていらっしゃる。

人生は長いのかな、という気がしてくる。



2013年6月19日水曜日

ビワよ、おまえもか

死ぬ直前に食べたいものは?と問われたら、
私は「桃」と答える。
だいぶ前からこの回答を用意しておいたのだが、
待てど暮らせど誰もそんな質問はしてこない。

甘美な芳香とみずみずしさ、
強く咀嚼する必要のないとろりとした食感。
これで喉を潤したなら、
まさしく桃源郷へとゆけるのではないか。

我ながら「いいね!」なチョイスだと思う。
ところが、あれは5年前か、いや、もう10年近く前になるのか、
ある時、桃を1/2個くらい食べたところで、
喉がエグエグと(イガイガよりエグエグがしっくりくるのだ)痒くなり、
次第に扁桃腺の風邪を引いたみたいにどんどん腫れあがり、
耳の中も痒いような感じがし、更には両腕に発疹がドバッと。

病院でアレルギー検査をしたところ、確かに陽性反応が出た。
リンゴも半陽性らしい。
(そういえば、リンゴを1/2個以上食べると、
 なんとなく光化学スモッグにかかったみたいな
 息苦しさを感じたことがあった)

そ、そんなあ・・・私の桃源郷はどうなるのだ。
死ぬ間際であれば関係ないのだから、食べちゃえばいいか。
でも、最期の最期に喉が腫れあがって体中ブッツブツ、なんてイヤだ。

ちょうど今は梅仕事の時期だ。
私は、その年ごとの気まぐれで梅酒を作ったり作らなかったり。
で、一昨年気づいた。梅の実もダメだということに。
素手で触っていたら、両腕にブツブツができてしまったのだ。
梅酒は飲んでも大丈夫なのだ(あらごしタイプは若干怪しいが)。
桃もコンポートなどの加工品はOKなので、
どうやら生の実(特にうぶ毛のある皮)に
反応するような毛がする。気がする。

野菜や果物を食して喉がおかしくなったり、唇が腫れたりする、
そのような症状を口腔アレルギー症候群と言うそうだ。
以前は大丈夫でも、大人になってからあらわれる人が結構多いらしい。

今朝、朝食の最後に、いただきもののビワを1個食べた。
房総産で、とっても大きくジューシー。
手で簡単に皮がむけたので、そのままかぶりついた。
その後、ソファで新聞を読んでいたら、
どうも目がゴロゴロする。無意識にぐりぐり掻いていた。
おや、喉もどうも調子が・・・・
ああっ??ひょっとして?
腕を見るが、発疹は出ていない。じゃあ、違うのか。
けれども目はどんどん調子が悪くなってきて、涙があふれてくる。
鏡を見たら、ノックアウトされたボクサーになっていた。
燃えた、燃え尽きたよ、真っ白になってなもんだ。
真っ白にというより真っ赤だけど。
白目が葛桜の葛部分みたいに水ぶくれしていてキモイ。
こんな症状の出方があるのか?

ネットで調べると、やはりビワアレルギーであると確信した。
口腔アレルギー症候群の原因となる主な食材はバラ科やウリ科に属する
植物で、桃、梅、そしてビワもバラ科なのだ。
基本的には口腔症状だが、目にくる場合もあるらしい。
食べた後、確かに手は洗ったけど、ひょっとしてうぶ毛が残っていて
それが目に入ったのだろうか。

結局、眼科と耳鼻科に行き、目薬2種類と飲み薬の処方を受け、
今はなんとかおさまっているが、まいった、まいった。

バラ科には他に梨、アンズ、スモモなどがある。
どれも好きで食べたいのにぃ。特に梨は桃と並んで好物なのに。
死ぬ前に食べたいというより、それを食べすぎて
アナフィラキシーショックで死んでしまう恐れもあるかもしれないなんて、
なんと皮肉なことよ。

他にも口腔アレルギー症候群としてあげられている食材の中で、
キウイフルーツやクルミも、食べるとわずかに息苦しい気がする。
私の身体は、そんな美味しいものたちをどうして敵とみなしてしまうのだろう。

今年は梅酒を作る気になれないな。

そして、最期に食べたいものは?と問われたら、どう答えようか。






2013年6月14日金曜日

シェフ99号発売!



 まいど宣伝でございます。
『シェフ99号』夏号が出来ました。
 直販はもう販売スタートしており、 書店売りは6月25日です。

 巻頭特集のテーマは「
素材の持ち味を最大限に生かすとは」。
 シェフにインタビューすると、何かと頻繁にこの言葉が語られます。
 では、実際のところ、素材の持ち味とは何なのか、
 どんな手法でそれを生かしているのか。
 レフェルヴェソンスの生江シェフ、レストランコバヤシの小林シェフ、
 ブラン ルージュ(東京ステーションホテル)の石原シェフ、
 3人のシェフの考えと実例を紹介。

その他、「グランシェフ」はラ・ロシェル山王の坂井シェフと
ル・マノアール・ダスティンの五十嵐シェフ、
「夏のスペシャリテ」はル・ブルギニオン、オー グルマン、
オレキス、レーヌ・デ・プレ、マダム・トキ、
「料理の動線」は   ア タ ゴール オリエント エクスプレス、
宴会料理は「コンラッド東京」、「地方のレストランを訪ねて」は
 RESTAURANT KEI(ホテル アークリッシュ 豊橋)、
「プロのためのマルシェ」のテーマは牛肉などなど。

99号ですって。すごいですなあ。
いよいよ次号は・・・。

いつの日か、その時を迎えるのだろうか、
『シェフ』にまだ携わっているのだろうか、と
ピチピチだった(自己申告)若き日の私は未来を想像し、
しかし、自分の人生に対する明確なビジョンや
強い意志というものを持っていない人間ゆえ、
何も浮かばなかったのだった。
が、今こうして、フリーランスになった身でありながらも
(フリーになることも浮かばなかったけど)
引き続き『シェフ』に関わりを持っている。
100号に携わろうとしている。
これは必然なのか、たまたまなのか。



2013年6月6日木曜日

冷蔵庫が逝く


話には聞いていた。
以前、自分のブログでも書いていた。
http://yumikowatanabe.blogspot.jp/2012/09/10.html

ほんとうに、ある日突然、その日はやってきた。
わが家の冷蔵庫が死んだ。
購入したのは1998年。冷蔵庫の平均寿命は8〜10年程度らしいから
わが家の冷蔵庫は人間でいうところの100歳超え、
天寿をまっとうしたと言える。
だから壊れたというよりは逝ったのだ。

一昨日の夜、帰宅して冷凍室から氷を取ろうとしたら溶けていた。
保冷剤、アイスクリーム、うどん、パン、
フリージングバッグに入れておいたヒヨコ豆のペースト、
唐辛子のピューレ(レシピは『ちょいラテンごはん』を見てね)など
たいした量ではないが、しかしすべて溶けている。
ハッ!! もしや?
もしやも何も、もうすでにわかっている、
わかってはいるのだが、なぜか認めたくないという気持ちが働き、
ひょっとしてちゃんと閉めずにいたのかも、と思うことにした。
半ドアだとブザーが鳴るが、ブザーが壊れたのだと。
おそるおそる冷蔵室を開けてみると、軽く冷気を感じる。
ほらね、まだ大丈夫、生きてる。
今一度、冷凍室のドアを強く押し込んだ。
きっと一晩経てば回復するかも、ダメだとしても冷蔵室だけは
もうしばらくがんばってくれるよね、
と祈りつつ眠り、翌朝、開けてみた。

すべてが機能停止していた。
飼っていた大きな動物が死んだような感じがした。
しかし、生き物ならば「冷たくなっていた」となるのだが、
冷蔵庫の場合「生温くなっていた」。
すでに妙な臭いが漂っている。

そして、ペットと違うのは、
喪失の悲しみに暮れている場合ではないということ。
1日も早く新しい冷蔵庫を買わなければ、
不便な生活を強いられることになる。

昨日は朝から仕事で外出しなければならなかったので、中身を放置。
夜、家電量販店に立ち寄り、現金購入。
15年に1度とはいえ、突然の10万円出費はキツいですなあ。

最近の冷蔵庫は冷凍室の収量の大きさを自慢しているものが多い。
私はあまり冷凍術が得意ではないというか好きではないので、
そんなに大きくなくていいのに、と不服。
ましてや野菜室みたいに深いのって、
いったい何をどう入れるのだろうか、よくわからない。
底に入れたものは掘り出さないと見つからないのでは?
自動製氷も興味がない。勝手に作ってくれなくていい、
私には私なりの氷作りリズムがある(はず)。
という観点から、冷凍室が浅型2ドア、自動製氷なし、のものを選んだ。

帰宅後と今日の午前中までかかって処分・整理した。
幸い、生魚や精肉は買い置きしていなかったが、
お菓子作りに使おうと思って買っておいたバター2箱、
クリームチーズ、ヨーグルト(むむ、乳製品だらけだな)、漬け物等を捨てた。
それから蔵元の異なる要冷蔵品の甘酒3パック。
先日取材で訪ねた酒屋で売っていたもので、
父が甘酒好きのため、買っておいたのだ。
珍しく親孝行しようとすると、こんなハメに。

からっぽになった冷蔵庫。
もう役に立たない、捨てられるものではあるが、
15年もの間、私の胃袋を満たすのに貢献してくれた。
ありがとうの思いを込めて拭き掃除をした。
ああ、元気なうちに何でもっとこまめに
掃除してあげなかったんだろう。
新品の頃は、大切に使っていたはずなのに、
いつから雑な扱いになっていったのだろう。

そしてつい今さっき。新しい冷蔵庫がやってきた。
「15年、それはずいぶん長持ちしましたねえ」
「そんなに使っていたとは思えないくらいキレイですね」
という業者の人のお世辞に、エヘヘと軽くいい気になる私。
運搬用の厚い布にいとも簡単にのせられ、
廊下をススーッと引っ張られていく旧冷蔵庫。
「15年生きたのは自分の力であり、お前のおかげではない」
「さっき慌てて拭かれただけで、たいしてメンテナンスして
 もらった覚えはない」
という声が聞こえるような気がした。

新しい冷蔵庫よ、こんにちは。
しばらくは大切に使うだろうけど、またそのうちに
君のことは空気のような存在になってしまうだろう。
なのでどうか、自分の力で15年たくましく生き抜いて欲しい。
15年後、私はどうなっているのだろう。
更にその次の15年後、買い替える私はそこにいるだろうか。





2013年6月1日土曜日

ギジェルモ・リソット Guillermo Rizzoto に救われた日

この春からの私の仕事の体制は、
前職場である『シェフ』(イマージュ)と、
ごはんとくらしをテーマにした出版社アノニマ・スタジオ、
この2つを大きな柱とし、その他に短期での仕事を受けている。

このところ、〆切等の山場がたまたま重なり、てんてこ舞い。
休日はないに等しい。
心をなくしている(忙)状態のせいなのか、
どうにも信頼できないと感じる(外部)の人間と
仕事上関わりを持たなければならず
ストレスもたまりまくりなのだ。
そうね、テキーラを100杯飲んで、タバコを100本吸って、
時速300kmアクセル踏みっぱなしで運転したい、くらいな気分である。
(男か?アタシは)
しかし、酒は強くないし、タバコも車も持ってないぞ、と。
電車の中でブツブツ文句言ってるおかしな人がたまにいるけど、
わからなくもないなあ。もし、私がいよいよそうなったあかつきには
 ♪人間なんてラララーララララーラー
これにしようと思う。
というかすでに心の中では歌っている。

そんな壊れかけのレディオ状態がピークとなった今日、
(もう日付が変わっているので昨日)
奇しくもギジェルモ・リソットライヴの日と重なった。
おそらく日本ではまだメジャーではないが、
ギジェルモ・リソットは1980年アルゼンチン出身、
母国の伝統音楽をベースに、
繊細な心情を織り込んだようなメロディーを爪弾くギタリストだ。
今はスペイン・バルセロナに拠点を置くらしい。

私は自宅での仕事中、たいてい音楽を流しているが、
その中には、彼のCD2枚も含まれている。
このたび、初来日とあって、ぜひ聴きに行くべし、と
予約しておいたのだった。

大慌てで仕事を切り上げ、会場である、
世田谷区代沢の富士見丘教会へ。
へえ〜教会でやるのか。
予約番号順に室内に通され、5名の長椅子に自由に座る。
私はわりに早かったので、2列目に座れた。
聴客は全部で90名ほどかな、左右各2列追加のパイプ椅子が
並べられるほど満員状態だった。
客層のタイプは固定できない、年齢性別いろいろな感じだ。
小さなマイク一つでほとんど生音だったので、
後部の席の人はちょっとかわいそうだったかもしれない。

CDもいいが、やはり生はいいですねえ。
クルクルヘアにちょっと森の小動物的なかわいさのあるギジェルモ。
昭和人間としては原田真二を思い出す。
じぃっと指の動きを観察してみたが、
決して激しい動きではないのに、どうしてわずか5本の指で
あれほど多層な音が繰り広げられるのだろう。
彼の風貌に似た、優しい音色だった。

帰り際、CDを購入するとサインがもらえるため、
人々は出入口の廊下に列をなしていた。
ちょうど私が会場から廊下へ出た時、脇の通用ドアがあき、
目の前に本人があらわれた。
人々は反対の方向を見ているので彼に気づいていない。私は思わず声をかけた。
感動した、CDは2枚持っているなどと伝え、
彼はありがとうと笑って答えた。
もちろんスペイン語で(ああ、習っていて良かったなあ〜)。
握手したかったが、どうなんだろう、
弾き終えたばかりのギタリストにとって
ひょっとして迷惑かもしれないと
ヤマトナデシコな私は求めなかった。
(その後に気づいた人たちはしてもらっていた様子)

まあどうでもいいさ、そんなことは。
素敵な音楽を聴かせてもらったことで、
イライラを忘れ、今夜は良い気分で眠れそうだ。
ああ、しかしもう3時ではないか。

ライヴは今日が初日で、各地をまわる。
まだ空きがある日もあるようです。こちら。 http://www.inpartmaint.com/guillermo2013/

YouTubeでの音は↓こちらなど。