2012年5月27日日曜日

朝帰り

朝帰りする時の朝日は、なぜこんなにも眩いのだろう。
徹夜で疲れた体には刺激が強いからか。
新たな1日が始まっている世の中についていけていない
夜の匂いをひきずったままの自分の、罪のような意識からか。
休日の早朝の電車は、かたや座席をベッド代わりに
横たわって死んだように眠る人と、帽子にリュックなど
レジャーにでかけようとする人が入り交じった、妙な光景だ。

昨夜は、『ちょいラテンごはん』のペルー料理店「荒井商店」にて、
貸し切りパーティーが行われた。オーナーシェフの荒井氏が
ペルー修業時代にお世話になった、
日本&ペルーの創作料理店「Toshiro's」の小西紀郎氏が来日しての、
彼を囲む会のようなものが行われ、小西氏の友人であり、
また、荒井氏の修業先であった四谷のフランス料理店「オテル・ドゥ・ミクニ」の
三國清三氏、レストランやロールケーキ、ソフトクリームで有名な
「KIHACHI」の熊谷喜八氏、京都「菊の井」の村田吉弘氏らが集まった。
小西氏は1953年宮崎県出身。1974年にペルーに渡り、
「NOBU」の松久信幸氏と共に現地で大成功した料理人である。
ちなみに、'97年のペルー大使公邸襲撃事件の際、
人質への食事提供を担当したのは小西氏だったそうだ。

そのような集いに私も出席したのだが、ただしお客としてではなく、
荒井商店の臨時スタッフとして、である。
つまり、厨房補助兼サービス補助。
人手が欲しいということもあるだろうが、
料理業界の人たちの集まりなので、人脈作り等、
今後の私の仕事に何か役立つのではないか、
という意味もあって荒井シェフが声をかけてくれたのだ。
プロの職場で、せめて足手まといにならぬよう、がんばったでござるよ。
厨房では、グラスを洗ったり、ジャガイモ30個の皮をむいたり、
ウミタ(トウモロコシ生地のちまきのようなもの)や
エンパナーダ(肉やゆで卵などが入ったパイのようなもの)を包んだり。
パーティーが始まると、荷物を預かったり、ワインや水を配ったり。
スタッフ側の目線でレストランの営業の模様を見るというのは
なかなかに楽しいものである。

三國氏や熊谷氏は、もちろん前々から私のことを知っているが、
この夜のことは知らせていないので、
「あれ?何やってんのよ?」と驚かれた。
最終的には彼らのそばに座ってホステス役となったが、
イマイチ色は添えられないので、いつものお笑い担当ですな。

宴は大賑わいで無事終わり、後片づけ。
残った料理やワインで荒井商店メンバーと共に
お疲れさんの乾杯をしたのが深夜2時すぎ。
しっかり働いた後の一杯は、たまらんですな。
その後、新橋という地の利を生かして?、近くの立ち飲み屋へ。
もうこの時期、夜明けは早いんだねえ。

そういうわけで、久々の朝帰りをしたのでありました。
3時間程寝て起きたが、使いモノにならんね、今日は。
しかし荒井シェフは、プールに行って、
それから釣りに行くと言っていた。タフだなあ。
こっちはハーブティー(合法ハーブではない)
でも飲んで何とかしゃっきり目覚めさせようとしているが、
すでに太陽は西に傾いている。
でも、たまにはこんな日があるのも、いいね。


















Toshiro's
http://www.toshiros.com/

荒井商店
http://araishouten.gozaru.jp/
http://araishouten.blog.shinobi.jp/



2012年5月18日金曜日

こととい


東京スカイツリーのふもと、ソラマチのプレス内覧会に行ってきやした。
昼間のスカイツリーは以前、浅草より眺めたことがあるのだが、
真下から見る&夕暮れ〜夜の時間帯は初めて。
なのでライトアップを期待していたのだが。してなかった。チェッ。
ちなみにソラマチのフード&スイーツ店舗は97店、カフェ&レストランは77店ある。
スカイツリーの形にちなんだ限定品がいくつもの店で見られた。
まあ、とうぶんは相当な混雑になるのでしょうな。

帰り道、せっかくなので少し離れたところから見ようと、浅草方面へ歩く。
言問橋の上で、むむむ、いつも目印になるアサヒビールの
名物ビルが見えない。あれ?どっちだったっけ?
すれ違ったおじさんに聞いてみる。
    ああ、あれでしょ、う○こビルって呼ばれてる、
    ほんとはビールの泡をイメージしているらしいけどね、
    あっちのビルのちょうど陰にあるんですよ。
あれは確か炎をイメージしているのでは・・・と思うがふむふむと聞き流す。
(炎のイメージのスーパードライホールに対し、
あっちのビルと言ったアサヒビールタワーこそが
ビールのジョッキをイメージしている)
   ここからのスカイツリーの風景はね、そこの川縁に降りて
   こっちの角度からこう見るのがおすすめで・・・
   先週だったら、LEDのライトを流して、ほんとキレイでね、
   僕は横浜なんだけど、女の子数人連れて・・・
おじさん、いろいろ教えてくれる。このまま話していたら、
そのうち、立ち話もなんだから1杯どう?と(別にいやらしい感じではなくて、
もっとしゃべりたいって雰囲気)なりそうな気もしてきたので、
なんとか切り上げる。

ところで。"言問(こととい)"って、響きが雅な感じだが、
どういう由来だったか。と思ったら、橋のたもとにそのエピソードが書いてあった。
『古今和歌集』の在原業平の歌にあるらしい。

名にしおはば いざ言問はむ みやこ鳥 
我が思ふ人は ありやなしやと

隅田川にいた鳥の名がみやこ鳥(=ユリカモメ)であると船頭に聞き、
みやこに置いてきた恋しい人を思って、
尋ねてみよう、元気でいるのかどうか、というような意味らしい。
この歌の"言問"を取って"言問団子"が売られるようになり、
それが有名になって、このあたりがそう呼ばれるようになったそうだ。
花より団子ならぬ、橋より団子(が先)とは!

"言問"を辞書で調べると、
  物を尋ねかけること
  言葉を交わすこと
とある。
まさに私は、言問橋の上で、見知らぬおじさんに言問したのでありますな。

しかし、この言問橋。
東京大空襲時に大勢の人々が焼死した場でもあるのだそうだ。

スカイツリーを見に行って(つーか、ソラマチプレスだろ! )、
まったく違うことばかりを考えた今宵。
深夜1時30分。雷が鳴り響いている。


2012年5月11日金曜日

インカ帝国展


行ってきました、インカ帝国展。
国立科学博物館で3/10〜6/24開催。
平日・GW明けなので空いてるかな〜と思ったけれど、
それなりに混んでました。
一番の注目はやはり、
眼球まで残っているものもあるミイラ。
それ以外にも、衣類や儀式の容器等に描かれた
インカならではの模様や、
文字を持たない代わりに、
ヒモを結んで数えるキープというものなど、
とても興味深いものが多々あり。
まだの方はぜひ!


で、観賞後、最後に通るのがお土産コーナー、
ここに、昨年出版した『ちょいラテンごはん』
(荒井隆宏 著)を置いていただいているのですね〜。
もし行かれた方はここも必ずチェックして下さいね。

http://www.tbs.co.jp/inkaten/


そして、TSUTAYA六本木店の2階では、ペルー特集コーナーがあり、
CDなどと共にこちらにも同書がありま〜す。
六本木ヒルズにお出かけの際には、こちらにお立ち寄りいただき、
ちょいラテンごはんを買って、同店に併設されているスタバで
コーヒーを飲みながら読む、という
今、最もナウなTOKYOライフスタイルを実践下さい。


今日は本の宣伝ばかりで失礼しました〜。


まあしかし、そればかりじゃ何なので、
博物館の帰りにおすすめの散歩コースとして、
フランス菓子の「イナムラ ショウゾウ」はいかが。
軒先のベンチでがぶりつくのもなかなかオツなものです。
(一瞬で食べてしまい写真撮り忘れた)
オーナーパティシエの稲村省三氏とは
彼がホテル西洋 銀座のシェフパティシエだった頃に出会った。
私が今日、訪れた時、ガラス越しの厨房で
モンブランのクリームを一心不乱にしぼっているその姿は、
あの頃と変わらず、真摯でバイタリティにあふれ、
60歳とはとても思えず。
稲村氏はヴァンドゥーズ(菓子店の販売員)の仕事の
重要性にも前々から着目、2009年には「全日本ヴァンドゥーズ協会」を
立ち上げ、ヴァンドゥーズのためのセミナーや検定等を行い、
クオリティと地位のアップに貢献されている。
「エコや人件費削減などにより、フランスも日本も、
包装はどんどん簡易化され、美しいラッピングはもとより、
慶弔の際の正しい包装の仕方が伝承されていない。
ヴァンドゥーズの重要な仕事の一つとして、きちんと

教育していかなければと思っています」
とのことだ。


パティシエ イナムラ ショウゾウ
http://www.inamura.jp/

全日本ヴァンドゥーズ協会
http://www.vendeuses.or.jp/




こちらはテイクアウトのアプリコットケーキ。香りがとても豊か。アプリコットがゴロゴロ。

2012年5月8日火曜日

意気地なし

・こわがり
・痛がり
・神経質
・吐き気をもよおしやすい

昨日、初めて行った自宅近所の歯医者の問診票。
該当する項目に○をせよ、とある。
もう私もいい大人である。ここはひとつ、ノーチェックでいきたい。
と思いながらも、手はさっさとすべてに○をつけていた。
神経質というのは、他の項目とどうニュアンスが違うのだろうか、
こわくも痛くも吐きそうにもならないけど、
何か細かいことが気になるということだろうか。イラっちな感じとか?
せめてこれひとつくらいパスしようかとも思ったが、
こわがりで痛がりで吐きそうにもなるけど、
でも私の性格はおおらかで細かいことは気にしないから大丈夫よ!
と主張したところで、何の意味があるだろう。
なので、意気地なしのダメ人間に徹することにした。

普段はムダに通る声のクセに、
歯医者にいる私はまさに蚊の鳴くような声しか出ない。
ううん、いやいや、だけをくり返す、ベソをかいた子どもみたいだ。
まるきり別人である。あるいはこっちの私が本来の私なのか。
(ちなみに、歯医者にいるって日本語的にはホントはおかしいのだけど、
でも"しか"だと通じづらいから、歯医者、ですよね〜?)
みんな、どうやってこの荒苦行を乗り越えているのだろうか?
もともと、歯はわりに丈夫なほうなので、歯医者に通った経験数は
一般的な平均値(ってどれくらいか知らないけど)よりおそらく少ない。
やはり経験数の少なさのせいか? それとも気質なのか?

治療してあるのは、左右上下の奥2本、計8本。
いずれも遠い昔に行ったもののため、老朽化してきたのか、
近年になって、いずれかの銀色のかぶせたものが、
食事中にぽろりととれてしまう、
という現象が数年に1度おこるのだった。

以前は会社の近くの歯医者に行っていた。
乃木坂時代、診察の椅子でしばらく待たされていた時、
ふと横を見ると、某有名ウエディングドレスデザイナー様が
半開きの口に棒状の器具をぶら下げたまま放置されていた。
あちらはサングラスをかけていたので表情はわからなかったが、
余計にシュールな感じで衝撃的だったなあ。

表参道の病院では、診察室に通され、
そちらへおすわり下さいと言うので、腰掛けると、
「そこは先生の椅子です」と呆れられた。
だってさ、内科なんかだと、手前の丸椅子が患者、
奥の立派な椅子が先生のって決まってるじゃないか。
こちとら滅多に行かない歯医者で不慣れなんだもん。
更に、そこの先生は、口を開けた私にいきなり
「カワイイんだなあ」と言った。
ええっ? やだ。からかってんの?モジモジする私に
「歯のサイズが小さいって意味ですよ」と、
冷ややかに言い直した。
フン。だったら最初からそう言え。

昨日行った歯医者では、医師がどんな人なのか、
果たして人間だったのかさえ、わからずじまいだった。
まずは助手が下ごしらえをあれこれやり、
先生がおでましになっても、私の頭の後ろ側にいるので
顔を見合わせることがない。
挨拶もないまま椅子を倒される。
むこうは私を見下ろすだろうが、
こっちはおびえた座頭市で何も見えていない。
助手が型を取って終了した際も、
すでに先生は他の患者のブースに行ってしまい、
さよならの言葉さえ言えなかったの(by天地真理)。

なんだろうか、この行きずり的シチュエーションは。
せめて最初に顔見合わせての挨拶くらいあっても
いいのではないのかなあ? 
その際には、できればマスクを一度はずして欲しいな。
(マスクしていたか確認できていないけどたぶんそうでしょ)
見ず知らずの人の指を口の中に入れられるんだからさあ。

麻酔なしで少し削られたが、痛くはなかった。
ああそうか。ひょっとして私は痛がりではないのか。
・神経質 に二重丸しておくべきだったのかも。
しかしそもそも、全部○にしたのに、
何の気遣いも感じられなかった。
何のための問診票なのだろうか?

・・・なんて、すべては負け犬の遠吠えだ。
こんなに私は意気地なしでダメ人間なのに優しくしてくれない!
とエバることほど、格好悪いことはない。
次回は「こんにちは!」と私から振り返って挨拶してみる。
診察中は、しかとこの目で先生を下から見つめ続けてみる。
そうしたら、あちらの出方も変わってくるだろうか。
私の歯医者嫌いも克服できるだろうか。

おそらく妄想で終わるだろう。
なんというヘタレ、チキンな私。



2012年5月6日日曜日

最近食べたもの



大塚「なべ家」にて、大トロねぎま鍋。田ゼリ・ウド・ワカメの春限定脇役と共に豪快に食らう。まわりのボリュームがすごいのでわかりづらいが、マグロの大きさも相当なもの。なるほど、赤身の力強い肉ゆえ、コンディメントは粗挽き黒こしょうをぱらり。煎り酒(日本酒と梅干しを煮詰める江戸時代の手法)で食すサヨリの刺身等も印象に残る。コース予算は酒を入れて1人2万円弱。



なべ家
http://www.gourmet.ne.jp/nabeya/





渋谷区鉢山町「ADENIA」のランチの一つ、仔羊のクスクス。これにたっぷりサラダがついて1300円。スープが少なかったのでお代わりしちゃった。えへへ。フレンチだが、ハンバーガーもあり。オーナーシェフ・入江眞史氏は、丸の内「コットンクラブ」や表参道「トゥールームス グリル&バー」のシェフを経て3月に開業。夜は気軽なア・ラ・カルト。

ADENIA
http://adenia.jp/


アルザスのビオワイン、マルク・テンペのピノ・ノワール サンスフル"敬" 2009。サンスフルとは亜硫酸塩無添加の意味。生産量が少ない&良い年にしか造らないものだそうで。やわらかな美味しさ。3月、新橋にオープンした「レストラン ラ・フィネス」の杉本敬三オーナーシェフの自宅にて、プライベートな手料理と共にいただく。彼の名がワインにつけられる程に、テンペ氏とは親交が深いそうで、テロワールの素晴らしさを熱く語っていた。ちなみにラ・フィネスのワインリストはiPad。

レストラン  ラ・フィネス  http://la-fins.com/



赤坂にあるフランス南西部料理店「コム・ア・ラ・メゾン」にて。とろりとやわらかいピキージョ(赤ピーマンの一種)に、細かいダイス状で歯触りを残した真鯛と干し鱈の詰め物、1500円。生ハムのフォンで野菜や豆、鴨のコンフィなどを煮たスープ・ガルビュや、食後の焼きたてカヌレ・ド・ボルドーなど、オーナーシェフ・涌井勇二氏は、2001年の開業から変わらぬ料理を作り続けている。

(HPなし)


友人Hの東北の親戚から毎年送られてくる山菜、をいつもお裾分けしてもらっちゃってる。ありがたや。フキノトウを天ぷらに。ネコにマタタビ、ワタナベにフキ。この香りを嗅ぐと、アタシはらりるれろ。食べたそばから「なぜ半分はフキ味噌にしなかったのか?」とちょっぴり後悔。