2015年12月13日日曜日

遺伝子検査(後編)


遺伝子検査(前編)

検査の結果が返ってきた。
といっても何か書類が送付されてくるのではなく、webのマイページで見る形である。
「病気」と「体質」の2分野に分かれており、まずは「病気」を見る。
147の病気に対し、私が将来かかるリスクが日本人の平均に対しどれくらいの倍率か、
示されている。
147項目中、矢印が横向きの1倍リスク、つまり日本人として平均的なものは6項目だった。
一方、平均よりリスクの少ない0.99倍以下が83項目、1.01倍以上は58項目。
どうなんでしょう、まあまあ健康なタイプと言えるんすかね?
個々の病気に対しての簡単な説明はあるが、
総合評価は書かれていないので分析ができない。

では、2倍以上のリスクがあるワースト6を発表しよう。
第6位 アトピー性皮膚炎 2.13倍
第5位 心房細動(不整脈の一種)2.17倍 
第4位 末期腎不全 2.33倍
第3位 βサラセミア 3.01倍
βサラセミアって何だ?
コメントを見ると、
「βサラセミアのかかりやすさではなく重症化するリスクの検査」となっている、
これはヘモグロビンの低下による貧血の一種、だそうだ。

第2位 ハンセン病 3.44倍
おっと、ここにきてリスクの倍率がだいぶ高くなっているが、
「現在の日本では新たな感染者はほとんどなく、
早期治療すれば後遺症を残すことなく治癒する」とある。

第1位 もやもや病 4.03倍 

栄えある??第1位だけがいきなりの4倍台である。
以前、徳永英明がかかったと聞いた気がするこの病気、
「5歳前後あるいは40歳前後の成人に多く発症する」んだそうだ。
「脳の動脈が何らかの原因で細くなったり詰まったりする疾患」で、
「血液量を保つために拡張した細い血管の血管網が、
煙がもやもやしているように見えることから」この疾病名がついたのだそう。
日本で発見されたため、海外の医療現場でも「moya-moya」で通るらしいんだが、
他にいい名前なかったかね? 
日本人の場合、誰が聞いても「精神的に晴れない」病と勘違いするのではないか?
外国人の場合も、何だかちょっとふざけているみたいだし。
ちなみに他の脳の血管に関わる病のリスクを見ると、
脳梗塞(アテローム血栓性)0.78倍、脳動脈瘤0.71倍、
脳梗塞(心原性)0.65倍と、こちらはむしろ平均より低いのである。
ということは、脳の血管の病全般がかかりやすいのではなく、
明らかに「もやもや病」にかかる可能性が高いということか。

もう一つ気になったのは、
肥満2度は0.91倍と平均以下なのに対し、

肥満1度は1.21倍、肥満度3が1.78倍とはこれいかに?


続いて「体質」のページに移る。

こちらは125項目ある。
検査項目に対し、低い・中間・高いといった3段階で示されている。
加えて、日本人における割合の度合いが少ないものから並べられ、
最後のほうになると100%、つまり日本人はみなその傾向にある、というものになる。
で、私の場合、トップにある項目は「体脂肪率」「体重」「肥満の指標(BMI)」で
そのすべてが「高い」「重い」「高い」である。
先ほどの肥満度3に対する合致か。
こ、これは激しくショックだ。
体脂肪率の項目をより詳しく見ると、
日本人100%のうち、やや低いタイプは66.3%、やや高いタイプは30.3%、
そして私が当てはまっている「高いタイプ」は、なんとたったの3.5%しかいない。
「体重」や「肥満の指標」についても同様に3.5%とマイノリティなのだ。
私は子供の頃はガリガリだった。
20代になっても、まだ痩せているほうだった。
30代後半くらいから、だんだん贅肉が落ちなくなって、
今は確かに人生の最大体重を更新し続けていることはいるが、
肥満と言われたことはない。
後天的な生活習慣によるものだと思っていたのに、まさか先天性の素質あったとは。

その後に続くのは
タンパク質の摂取傾向」高い3.7%、
「目の角膜の厚さ」やや薄い4.3%。
目は確かに黒目が薄い色なのでそういうことかなと思うが、
タンパク質の摂取が高い遺伝子ってなんなんだ、それは。
説明を読むも、結局のところどうすればいいのかはよくわからないのだが、
日本人の65.3%はタンパク質の摂取がやや低い、31%はやや高い、だそうなので、
3.7%は珍しいタイプなんだろう。

「テロメアの長さ」長い10.2%。
日本人の46.4%がやや短く、43.4%がやや長い中で、長いは10.2%と少ない。
テロメアとはなんぞや?
「染色体をヒモとすれば、テロメアはそれをとめる金具のようなもの」で、
「テロメアが短くなると染色体は不安定になり、最終的には細胞は分裂をやめる」
それがつまり細胞の老化ということだ。
テロメアが長いのは老化のスピードが遅いタイプということですな。

テロメアでちょっとうれしくなったのもつかの間、
「身長」低い「胸」小さい「腰のくびれ」目立たない 
え? なんですか、これは。
するってーと、体脂肪率は高くて背は低く胸も小さくて腰はくびれていない、
あたしゃマトリョーシカか。
あゝ、生まれながらにして「チミはザンネンな体型ですね」と宣言されたようなものだ。
しかし、身長はこう見えて日本人女性の平均なのですよ! あってないじゃん! 
え?他2つはどうか? 
知らん!!

「病気」と「体質」それぞれに、鍵がかかっている項目がいくつかある。
本当に見てよいか、というような覚悟を確認するメッセージがあり、
OKをクリックしないと進めないようになっている。
そんなに恐ろしい結果が待っているのか。
しかしもう、マトリョーシカ宣告されている私には、
何も怖いものなんてありゃしねーぜ。
いざ開けてみたら、そのほとんどがさほど極端な数値でもなかったので、
余計に肩透かしだ。鍵のかける項目を間違っとるぞ。
ただ、一つ、「85歳以上まで長生きする可能性」については、
日本人の86.3%がやや高い、0.5%が低い、そして私は13.2%のやや低い、だった。
へぇーそうか、長生きするタイプではないのだね、私は。
まあ、いい。そうとわかったほうが、これから残りは約30年と思って、
もう少し有意義に生きていこうと思えるし。


この他にも、
「アスパラガスを食べた後の尿から独特の臭いを感じ取る能力」
「麦芽の香りを感じる能力」「苦味の感じやすさ」「光くしゃみ反射」
といった項目まである。
が、検査結果が出た後、この機関から時々メールが送られてきて、
「記憶力」「粘り強さ」「親切心」「打たれ強さ」「音感」など、
追加の検査結果を1項目500円で、唾液の再提出なしにすぐにお知らせします、という。
かー、なんという商売だ。まさに新手の占いではないか。
そういう、いかにも興味をそそるような検査項目を基本には入れず、
ワンコインという絶妙な価格設定のオプションで後出ししてくるとは、
やり方がこすいのぉ。
人の検体を弄んでやしないか。