2014年6月26日木曜日

エロイフルーツ

昨夜は、スペインから来ている友人たちと
新宿三丁目の立ち飲み屋で一杯飲んできた。
もう少し正確に言うと、以前、スペイン取材でお世話になった、
フードコーディネーターのAさんという人がいて、
彼女はアメリカ系なのだがバルセロナを拠点にしており、
2〜3年に1度くらいの頻度で日本のガストロノミックツアーを企画し、
シェフなど料理関係の人たちを引き連れてやって来る。
築地市場や合羽橋、料亭や料理学校で和食のテクニック講座など
盛りだくさんな内容で、昨夜は言わばB級Izakaya体験である。
メンバーは私や他の日本人関係者も入れて全部で10人ほど。
2年前の冬に来た時には、合羽橋と浅草巡り&ウナギ屋でのランチに同行した。
その時のメンバーの一人が今回も参加していた。
西郷隆盛である。いや、武蔵丸か。
とにかくその二人を想像してもらえればほぼ間違いない、という人である。
西郷は新たな仲間を引き連れており、
その仲間も外国人力士の誰かに似ている(こちらはざっくりな紹介ですみません)。
西郷と力士は、その見事な太鼓腹に、
豚の串焼き&ビールをするするとおさめていく。
このままエンドレスに食べ続けられるように見えた。

私は、自分のスペイン語能力が相当に落ちていることが情けなかった。
小学3年くらいのレベルが幼稚園まで退化している。
このところ、まともに勉強していなかったら、このザマである。
特に、聞き取りが苦手だ。
質問されているのに気付かず、フンフンとわかったふうにうなずき、
相手から訝しがられる。


女性の参加者がいた。
マドリードにある青果卸会社のゼネラルマネージャーとのこと。
名刺交換をすると、今回の旅のためにこしらえたのか、日本語版になっていた。


こ、これは!!
という私の表情をすかさず察した彼女は言った。
「日本でこの名刺を出すと、みんな爆笑するのよ」
社長さんの名字がエロイさんというらしい。
すでに“エロイ”の意味は日本人から聞いてわかっているとのこと。
スペイン語だとerótico(エロティコ)となり、eloyとは相当に違ってピンとこないのだろう。
日本ではエロティコ的な意味だとは知ったけれど、“エロイ”という言葉は
具体的にどんなシチュエーションでどう使うのか?と
彼女はまじめな顔で私に質問をぶつけてきた。
・・・・む、難しい。

そもそも“エロチック”という言葉自体、普段使ったことがないし、
“セクシー”と“エロイ”はどう使い分けるのだろうか。
“エロイ”というのは、淫らなとかいやらしいというニュアンスが強いのだろうな、たぶん。
しかし書き方が “エロい”だったら完全にアウトだが、
“エロイ”なので、一見そっちの意味とも思わない人もいるのではないか・・・
いや、むしろいっそのこと “エロい”で通したら日本で成功するかもしれない、
名刺の下に書かれたコピーは“エロいフルーツ、エロい人”にして。
フルーツってどこかエロチックなものだし。
(と、使ってみた エロチック。少なくともフルーツにはセクシーとは言わないよな)
でもそんな説明をスペイン語ではとてもできそうにないし。
などと、私は串焼きを食べながら、
近所の歌舞伎町に興味津々で何か卑猥なことを言ってゲラゲラ笑っている
西郷どんを眺めつつ(これぞまさしくエロいですと指し示せばよかったか?)、
エロいとはなんぞや、をあれこれ考えていたのでありました。


ところで、私はAさんに、↓こちらをお土産にあげたら、とても喜んでくれた。

http://www.claskashop.com/shopdetail/000000001399/038/X/page1/order/


で、私は彼女からこれをもらった。



「マニュアルシンキング」という商品だ。
 http://manualthinking.com/ja/

折りたためるシートマップと、貼ったりはがしたりできる各種サイズのシールのキットで、
何かのアイデアやプロジェクトを図形化して整理するツールですってよ。
日本でもオンラインストアで購入可能。
とりあえずアタシは、エロのマップを作成してみるか。
それって、ケーシー高峰じゃないか。




2014年6月20日金曜日

SPICE CAFEのスパイス料理 完成!!




ちょうど2年前の今頃、TBS系の深夜番組「Asian Ace」で、
押上のスパイス料理店「SPICE CAFE」の伊藤一城シェフが
カレー対決で勝利しているのを見た。
東京スカイツリーが開業して間もない頃でもある。
行ってみたいなあと思っていたら、仕事関係の知人から
「ビリヤニの美味しい店があるから一緒に行きましょう」とのお誘い。
それが偶然にもSPICE CAFEだったのであーる。
これは何かご縁があるような気がする。
あるいは、ないのかもしれないけれど、
あると思い込むことで、何かしら結果がついてくる気がする。
私はシェフに出版の話を持ちかけた。


そして本日、その結果が形となりました。
『SPICE CAFEのスパイス料理』(アノニマ・スタジオ刊)。

南インド料理がベースですが、
いかにもインドインドしていないのがこの本の特徴。
例えば、1つのスパイスで、単体の野菜を使って10分でできる料理とか、
レンコンや山イモなど親しみのある和素材がスパイス味に変身、
保存がきくインディアンピクルスなど、
気軽に作れる日々のおかずが盛りだくさん。
カレーは、いつもお店で提供しているものを家庭で作れる量の配合にアレンジ。
スパイスを使っていないデザート(こちらも、いつものお店の味)などなど。


伊藤シェフは、サラリーマンを辞め、
3年半かけて世界48カ国を旅した経験の持ち主。
さまざまな料理との出会いの中、
特に南インドのスパイス料理に衝撃を受けて自分の料理店を開くことを決意、
帰国後、数年のレストラン修業を経て、
実家が所有していた昭和35年築の木造アパートを自分の手でリノベーションし、
まだスカイツリーの影も形ない2003年に開業。
駅から徒歩15分の立地ながら、口コミで予約の取りにくい人気店に。
毎年2月は1カ月店を閉めて、インドへ料理修業に行く。
・・・といった興味深いお話はシェフのエッセイで収録してあります。

発売は7月3日、早いところならば1日くらいには並ぶかもしれません。
どーかひとつ、お買い上げのほどよろしくお願い申し上げます。

それから、7月7日の夜はcookcoop(千代田区紀尾井町)で伊藤シェフによる料理講習会、
15日は代官山TSUTAYAにて、シェフと東京カリ〜番長 水野仁輔氏の
トークイベント(参加条件として同店での本購入が必要です)が決定しました。
それぞれのwebサイトに近日アップされるので(現在はまだです)、
こちらもぜひ参加をお待ちしております。
どちらも当日、私も行く予定です。


cookcoop
http://cookcoop.com

代官山TSUTAYA
http://tsite.jp/daikanyama/event/#date=2014/7



2014年6月12日木曜日

シェフ103号発売!!



『シェフ103号』夏号、本日完成です! 
書店売りは6月25日です。
直販は本日より承りますので、よろしくお願いします!! 

特集「シェフの食材帖」
どんな食材を求め、どのように入手し、どう生かしているのか。
GINZA TOTOKI、TSU・SHI・MI、プレヴナンスに徹底取材しました。


この他、久しぶりのコート・ドール登場です!

そして、ヴァンサン、ラ メゾン ドゥ グラシアニ 神戸北野、ライラ、

ロドラント ミノルナキジン、ブーケ・ド・フランス、アルシミスト、
レストラン ラ フィネス、ビストロ みや乃、レストラン ピジョン、
ビストロシュウ、アヴォロンテ、ランベリー ビス、
レザントレ コウジイガラシ オゥ レギューム、マルノワ、
ブラッセリー ラルドワーズ、Ushimaru、ヒカリヤ ニシ、
スモールワンダーランド、フィリップ・ミル氏、浜田統之氏、
ドミニク・コルビ氏を掲載しています。
ご協力ありがとうございました。

今回は私も久しぶりに取材現場に出まして、
GINZA TOTOKI、TSU・SHI・MI、レストラン ラ フィネス、ランベリー ビスを
担当しております。


2014年6月6日金曜日

芒種に霜焼け


今日はどしゃぶりの中、郊外の酒屋へ取材に行っておりました。
 棒が1本あったとさ〜♪(中略)
 あっという間にかわいいコックさん♫
と思わず口ずさみたくなるような、見事に6月6日な日でありました。
長靴で訪問というのはナンだろうと思い、
普通のローヒール靴で出かけたら、瞬く間に水浸しに。
酒屋の倉庫はマイナス5℃、ちょいとパーシャルフリージングした後、
帰りの電車や立ち寄ったスーパーも「クールクールで夏はクール」状態、
今日は芒種であるというのに、
家に着く頃には冬の風物詩、霜焼けもどきになっていた。
たき火だたき火だ落ち葉たき〜♪だ。
 
と、季節が混乱しているが、今年ももうすぐ半分終わるのだ。
早過ぎやしないか?

部屋の花はミモザから桜、そして芍薬へと移りゆく。
見事な大輪の芍薬は、散り方も大胆、
仕事をしている最中、何となく気配を感じ振り返ると、
ザバッと落ちていた。
花言葉は「恥じらい」「はにかみ」らしいが、どうもしっくりこない。
威風堂々たる姿で、散り際は桜よりよほど潔い。
(実は「威厳」という花言葉もあるんだとか。
 ちょっと、どうなっているのよ、花の子ルンルン?)

どこか動物的ですらある。
と思ったが、
それはただ単に大きな花弁の存在感からそう感じるだけで、
実際の動物の死に際は、おそらく花のようにはいかないのだろう。
花はピークに到達して散るが、
人は、今の時代に生きている人は、ピークがわからない。

 散りぬべき 時知りてこそ 世の中の
 花も花なれ 人も人なれ

と詠んだ細川ガラシャは38歳で命を絶っている。