2013年5月25日土曜日

スタンリーのお弁当箱


こちらの試写会に行ってきました。
インドの映画「スタンリーのお弁当箱」。
主人公の男の子スタンリーはクラスの人気者、
しかし、悲しい家庭の事情でお弁当を学校に持ってくることができず、
仲間は自分の分を分けてあげるのだが、
食い意地の張った国語の男性教師がそれを横取りする。
しまいには「弁当を持ってこないやつは学校に来る資格がない」と
追い出され・・・

男の子は監督の息子、監督は憎らしい国語教師の役も務めている。
子どもたちは(おそらく)みんな素人で、映画の撮影とは知らせずに、
毎週土曜にワークショップとして撮りだめていったそうだ。

はっきり言って、ストーリーは茶番というか、
国語教師が異様なまでに他の先生や生徒達の弁当を狙い、
そんな自分を棚に上げて、スタンリーをネズミ呼ばわりしたり、
またその顛末など、実にくだらないのであります。

が、なかなか楽しく観ることができました。
何が良いかというと、子どもたちがみんなカワイイ。
いわゆる子役のわざとらしい可愛さではなくて、
みんな自然な雰囲気なのが良かった。
少年たちの物語というと、決まって
主人公はちょっとかっこ良くて、脇役には
チビ(目がキョロっとして子猿っぽい)
ひょろり( or メガネ、頭がいいが神経質そう)
ぽっちゃり(甘えん坊、親が金持ち)
が欠かせない。これは世界共通な気がする。
この映画も一見そんな感じで脇をかためているので
ステレオタイプといえばそうなんだけども、
(あ、しかしメガネの子はいなかった!)
みんなとても思いやりのある仲良し同士というところが違うのだ。
ぽっちゃりは一番豪華な弁当で、唯一携帯電話を持っているため
明らかに金持ちとわかるが、たいていこの役は、
みんなからいいようにされたり、ドジを踏んだり、
弱虫なあまり裏切ったりするのがオチである。
が、この映画ではそのような展開はない。
子どもの世界は実はかなり残酷だと思っている私にとって、
みんな仲良しこよしなんてあり得ない、嘘くさい
としらけてもよさそうなのだが、
なぜかそうならない。
いいなあ〜羨ましいなあ〜と素直に思ってしまった。

そして、カレーやサブジ(野菜の炒め物)など、
お弁当の中身が非常に興味深い。
円形で縦に重ねるステンレスの弁当箱のデザインもおもしろい。
今どき感をあらわしているのだろう、ステンレスだけでなく
カラフルなプラスチック製も多く見られた。
(だけど、あれにカレー入れたら一発で黄ばむよね?
実際のインドの家庭ではそのへんどうなっているだろうか)

熱したオイルにスパイスを入れて香りを抽出する調理シーンなど
匂いが漂ってきそう。食べたい〜。
また、驚いたのが、人によっては弁当箱の中身が麺だったり、
クラッカーやお菓子だけだったり。
教室に限らず、廊下や階段脇などで
立ったまま食べている生徒もいてびっくりだ。


ああ〜、お弁当に関してはいろいろな思い出や
話したいことがあるけど、今日は時間がないのでやめとく。
またの機会にぜひ!

ちなみに、インドに住むライターいわく、
現地の映画館では、お気に入りの俳優が出ると立ち上がって拍手したり、
花吹雪が舞ったり、やたらと騒がしいらしい。
すごいね、インド。一度は行ってみたい国だ。


スタンリーのお弁当箱は、シネスイッチ銀座などで6月下旬より公開。
http://stanley-cinema.com/



2013年5月18日土曜日

キャドバリーBourn VitaのSweet Dreams

ナイトキャップを被ってベッドに入るヨーロッパの男性、
というお決まりの昔の絵面がある。
なんで寝る時に被るのか。
防寒、シラミ予防、整髪剤による枕汚れ&寝グセの防止、
自宅でカツラを取った後の短髪隠しとか
いろいろな理由があるんだとか。
何となく不思議な感じがするが、あのデザインがまた気になる。
折れるくらいに長く先細りの形と先端のボンボン、
どうしておっさんがカワイぶっているのだろうか。


そのマグカップを目にしたのは、ずいぶん前、
海外の雑誌あるいは日本のインテリア雑誌だったか。
スヤスヤとした眠り顔が側面に描かれ、
ナイトキャップの形をしたフタが被せられている、ユニークなものだった。
なぜかそれが頭の片隅に残っており、最近になってふと思い出した。
あれはどこの製品なのか、入手することはできないか。

ネット検索してみる。手がかりは何もない、
ただ脳裏にうっすら浮かぶデザインだけが頼り。
そのため、すぐにはヒットしなかったが、
「眠り顔 マグカップ ナイトキャップ」 
などとキーワードをいくつか組み合わせて打つうちに、
私が以前見たそのカップに行き当たることができたのだ。
こういう時、ネットの時代は便利だなあと思う。
20年前だったら、どうしていたのだろう。
おそらくまわりの人に
「こんな感じのカップ知らない?なんかこう顔がついていて帽子被って・・・」
「知らないなあ」
「じゃ、絵を描くとこんな感じなんだけど」
頭の中でイメージしていてもいざ絵に描いてみると
案外、エスチャーで見せたずうとるびの江藤クオリティになってしまうものだ。
   



それではますます遠のき、巡り会うことはなかっただろう。
まあ、昭和の時代だと、最初から探せると思っていないだろうから、
今見つからなかった場合に感じるほどの悔しさもなかったかもしれないけど。

私が気になっていたカップというのは、
イギリスのチョコレートメーカー「キャドバリー」が
Bourn Vitaというチョコレート風味ドリンクのノベルティグッズとして
1960年代に製造した、プラスチック製だった。その名もSweet Dreams.


就寝前に飲まれていたということで、
なるほどだからナイトキャップのフタを被ったデザインなのね。
就寝前と言えば、ヨーロッパのホテルでは、夜のベッドメイクが入ると
チョコレートが置いてあることがよくある。
しかし、私たち日本人の感覚では、寝際にチョコレートを食べて
そのまま歯を磨かずに寝るってかなり勇気がいるのではないか。
近年の調査で、カカオには虫歯を予防する効果があると言われるようになり、
そうした習慣はあながち間違っていなかったのかもしれないが、
カカオの成分は良くても、砂糖がいっぱい入っているお菓子では
どうなんだ~? とは思うが。

このマグカップ、とても希少で、なかなか手に入らないという。
ネット販売されているものはたいていSOLD OUTとなっており、
ごく稀にあっても、目立つ破損があったり、フタがなかったり。
完璧な状態だと相当高価らしい。
世の中、どんなジャンル、どんな製品にも、
マニアというものが存在することに驚く。
ザンネンだなあ、でもやっぱり欲しいなあ。

引き続きネットを眺めていたら。また新たなことがわかった。
Sweet Dreamsカップ、1960年代からはプラスチック製だが、
それ以前、40年代50年代は陶器製(フタはないタイプ)だったという。
年代が古いのでこちらもなかなか入手できない。

しかーし!!  見つかったのだ。
イギリスのスージークーパーや銀器などのアンティークを扱うサイトの中で
あきらかに1個だけタイプが異なり浮いている、眠り顔のへんてこなカップが。
私が一番求めているキャップつきのプラスチック製ではなく陶器製ではあるが。
メールで問い合わせると、耳にあたる持ち手部分に、わずかにキズがある、
それが気になるかどうか、もし良かったら実際に見に来て確かめてみては、とのこと。
偶然にもその店は、私の家から数駅隣だったのだ。
海外のサイトまで見ていたのに、そんな近所にあるとは。

行ってみたら、店ではなく個人の家だった。
バス便の郊外にある高級住宅街の一画、
自宅の部屋にずらっとコレクションが並んでいる。
趣味が高じ、プロとしてのアンティーク買いつけの修業を積んだという、
私の母親よりは少し若いくらいの女性。
まあゆっくりお茶でも、とアフタヌーンティーをごちそうになる。
キャドバリーのカップは、ずいぶん前にたまたまイギリスで買ったという。
確かに普段彼女が買いつけるものとは毛色が違うが、何となく気になったそうで。

元々はナイトキャップつきを探していたことを告げると
「ああ、そっちもあるわよ。ひょっとしてと思って両方出しておきました」
さらりとすごいことを言う。
オーマイガッ。りありぃ~? 
なんということだ。希少なものが2つとも揃っているなんて!! 
しかも、プラスチックのほうはほぼ無傷な状態。
陶器も、耳のキズはほとんど気にならない程度。
これぞ一期一会、買うしかないでしょうよ。
価格もネットで調べていた相場からして、ちょい安いくらいなので良心的、
かつ、2つ購入で少し値引きいただいた。
ありがたき幸せ。



ところで、イギリス&スイートドリームスと言えば、
ユーリズミックスの歌を思い出す。
なつかしい。好きだった。いい夢を見られそうにはない歌だが。



マグカップの顔も、他の人から見れば可愛いというよりキモイかもしれない。
まあそういうへんてこなものが好きなんだろう、私は。
棚に飾り、ときどき眺めては一人ほほえんでいる。


2013年5月11日土曜日

日本大学文理学部 案内

まいど宣伝でございます。




こちら、日本大学文理学部の2014年案内にて、
3人のOBにインタビューをし、この学部でどんなことを学び、
社会人としてそれがどう生かされているか等を書きました。
このような媒体でのお仕事は初めての体験。

OBといってもまだ20代の、卒業して数年くらいの若い人たちで、
学校側が選んでいるだけあって、みなさんとっても真面目。
銀行員、臨床心理士、中学校の先生、と異なる分野で
活躍されていました。

個人的には臨床心理士の療法が気になった。
箱庭をちょっと試してみたい気がしたが、
私の場合、こう置いたらこう言われるのか?などと余計なことを
考えてしまうに違いない。それもしっかり見透かされるのだろうか、
「あなたは、受けを狙っていますね」とか
「雑念や煩悩のかたまりですね」とか。


高校生のお子さんを持つ親御さん、
もしこちらの大学にご興味がおありでしたら、ご覧下さいませ。


2013年5月4日土曜日

歌がつむぐ♪ 日本の地図

バタやんが死んじゃったねえ・・・
と、つぶやいても、応答してくれる人がなかなかまわりにいない。

♫ 赤いそ〜てぇ〜つぅの〜 とかさ、
♫ 波の背の背に〜 とかさ、
と一節歌ってみせたところで、ますます困惑されるのがオチである。
淋しいですな。
とはいえ、よく考えてみると、
バタやんの得意セリフ「オース!」をリアルで知っているかと言われれば、
私の中ではいかりや長介の「オイースッ!」のほうがリアルなのだった。
バタやんは好色だった、なぞというアダルト情報もなぜだか知ってはいるのだが、
「ねーねー知ってた? バタやんってさ〜」と、
一度でも誰かと噂し合った経験はないのだった。
なので、さっきからバタやんと馴れ馴れしくあだ名を
連呼していること自体どうなんだ。
新しい学年の1学期半ば頃、それまで一度もしゃべったことのなかった
クラスの男子が突然私のことをあだ名で呼びとめて
普通に話された時くらいの違和感があるのではないか。
というわけで、バタやんこと田端義夫氏のことを本当はよくわかっていない。
なぜギター位置があんなに高いのか、も。

けれども、私の年にしては、懐メロをよく知っているほうだと思う。
で、たまたまではあるのだが、懐メロ系の本のお仕事をいただきまして、
その知識を役立てることができました。
何事もムダにはならないものですなー。

こちら、4月発売の『歌がつむぐ♪ 日本の地図』。
出版元は学校の副読本の地図でおなじみの帝国書院さんです。



日本各地にゆかりのある歌謡曲・童謡唱歌・民謡などを集めたもので、
なんかちょっと表紙のビジュアルがすごいが、
私は巻頭8見開きを担当、鉄道ソングとか港・船にまつわる歌、
四季の歌等を選曲し、土地との関係性などを記事にしています。
得意とはいえ、いざ取りかかってみたら、ものすごく時間と労力がかかった。
なにせ、すべての歌謡曲や童謡唱歌からテーマごとに何十曲と
リストアップしなければならない。
例えば、「津軽海峡冬景色」のような、タイトルに土地名が出ていれば明白だが、
タイトルには出ていなくとも歌詞に出てくる歌も多いので、
1曲ごと歌詞を確認する必要がある。
また、歌詞にも出ていないけれども、実はこの土地にゆかりがある、
といった歌も多いので、そのエピソードと事実関係を調べる必要がある。
美空ひばりの「あの丘越えて」という歌では、
山の牧場としか歌っていないが、主題歌となった映画のロケ地がどこかを探す。
北軽井沢の浅間牧場だという噂もあり、
映像にはそれふうな景色が出てはいるが、
現地関係者に問い合わせても確証はとれなかった。
しかし映像には上高地のような景色も出ており、
実際に関係者に見てらったところ、間違いないとのお墨付きをもらい、
ようやくこれで1曲選定できる、といった具合だ。
この仕事をしていた時期、私は1日中、YouTubeなどを検索して
古い歌を見まくり聴きまくり歌いまくり(歌う必要はないけども)であった。


特にシニア世代に喜ばれる選曲になっているので(名曲CDつき)、
もうすぐ母の日、プレゼントにいかが。