親戚の男の子に、25年ぶりに再会した。
母方の年の離れたいとこの子供にあたる。
男の子といっても今ではもう立派なオジサンであり、
そのオジサンよりだいぶ年上の私は・・・むにゃむにゃ。
25年前に我が家に泊まったのが1度きりの出会いだった。
なので、親しかったわけではないのだが、
妹をもつ彼からすると、年上のお姉さんは憧れだったそうで、
何か強く印象に残っていたらしい。
「お姉ちゃんに教わった(トランプの)スピード、
あれからものすごいやりまくりましたよ」
私は覚えていないが、お姉さんヅラして、
そんな遊戯を伝授していたのか。
何かもうちょっと上品な遊びはなかったのか。
幼い頃は毎年、夏休みや冬休みに母の田舎へ帰省した。
私も年上の兄弟がいないため、田舎のいとこのお兄ちゃんが憧れだった。
弟と奪い合うようにしてお兄ちゃんにまとわりついていた。
あれは小学2〜3年くらいだったか。
お兄ちゃんの部屋で2人きり、おはじきをして遊んでいた。
(おはじきって!! 昭和初期か?)
彼を独り占めしている女の幸せを噛みしめていたんである。
何か禁断の遊びをしているくらいの気分である。
(あくまで、おはじきなのだが)
しかし、幸せはそう長くは続かない。
舞い上がっていたせいか、冷え込む冬だったせいか、
私は小用を催したのだ。
お兄ちゃんの部屋は離れの2階にあり、
トイレは、庭をはさんで建つ母屋まで行かなければならなかった。
離れというのは、母が娘時代に住んでいたものすごく古い田舎家で、
1階には農耕機具置き場やかまどの土間があり、
2階からは、ほぼ直角の恐ろしい階段を降りなければならない。
行くのが非常におっくうであった。
この楽しい時間を終わらせたくなかったし、
何より、憧れのお兄ちゃんに「トイレに行きたい」と
言うのが恥ずかしかった。
そのため、正座している足を何度もモジモジ組みかえては
必死で我慢した。
しまいには、何も気づかず無邪気に遊んでいる
お兄ちゃんが恨めしくもなってきた。
こっちがこんなに切羽詰まっているのに、
大人の男(おそらく中学生)として察して
リードしてくれたっていいじゃないのよ。
んもぅ、鈍い人ね!
もういよいよ限界となった。
まあそんな行きたいわけでもないけど
遊び疲れてきたからブレイクタイムね、
くらいのノリで「ちょっとトイレ」と伝えたような気がする。
部屋を出た途端、いつもは怯える急階段もダッシュで駆け下り、母屋へ。
トイレのドアを開け、ホッとした私は・・・
万事休す。
トイレの中にいながらにして&小学生でありながら、
粗相をしてしまったのだ。
当然のことながら、家族親戚みんなに知られ、
お兄ちゃんは弟とともに私のことを冷やかし笑った。
トイレと言えないばかりに、これほどの辱めを受けることになるとは。
親戚の男の子がその田舎へ遊びに行く頃には、
もうみんな私たちは大きくなってしまい、
子供たちが大勢で集まるにぎやかな夏休みはなくなっていた。
だから彼にとっては何の楽しい思い出もないらしい。
私は、憧れのお兄ちゃんと、やはり20年以上会っていない。
いつの日か再会した際には、あの事件を覚えているか聞いてみようか。
彼にとってはきっとどうでもいいことだろうから、
覚えていないんじゃないかな。
ま、これに限っては私にとっても抹消したい出来事だし。
憧れる側は勝手に憧れ、トランプだのおはじきだののディテールまで
覚えているが、憧れられる側は何も覚えていない、そんなもんだ。
憧れる側は思い込みが激しく美化しすぎている分、
月日が経ってからその人に会った時の落胆もひどいもの。
ということは、先日会った彼は私にがっかりしたかもね。
だって25年だ。思えば遠くに来たもんだ。
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