2012年9月12日水曜日

夏の肌

自分は人一倍、蚊に刺されやすいと思っていたが、
世に言う蚊に刺されやすい体質というものには
どうも今ひとつあてはまっていない。
どうやら、刺されやすいのではなくて、
刺されると炎症しやすく、その跡がなかなか消えない体質なのかもと思い直した。
いったん刺されたらもうおしまいなので、
いかに刺されないようにするか、がポイントになる。
そのため、家の中にいても、なんかやられそうだという
予感がする時は、蚊取り器をつけた上で
更に虫除けのローションを手足に塗るのだ。
虫除けを塗るたびに、
私の脳裏には『耳なし芳一』が浮かぶ。
そう、あの恐ろしい物語である。
お経を書きそびれたがゆえに、いや、
ローションを塗り忘れたがゆえに
そこをめがけて蚊が突進してくるのではないか?
あいつら、ほんと抜け目ないから。
しかし、虫除けローションは匂いもイヤだし、
肌にもよくはないので、顔はむろんのこと首周りなどには
あまり塗りたくはない。
だから、首から上なし芳一状態を覚悟しなければならぬ。
でも、さすがにそんなとこに蚊が飛んできたら、
普通は刺される前に気づくのでは?
そーですよねえ。じゃああれか、
私の場合、蚊の存在に気づくのが鈍いのが問題か。
遠い昔、友達と民宿に泊まった夏休み、
朝起きたら、お岩さんになっていたことがあった。
別の年にはいかりや長介になっていた。
どうだろうか、ここまで体を張って、
愉快な旅の思い出を仲間に提供する芸人気質。
いやいや、本人はそんなつもりは毛頭ない。
うら若き乙女の顔が長介だ。だめだこりゃ、泣きたいに決まってる。

どうも、夏は子供の季節という感じで、
やけにノスタルジックな気分になるのは私だけだろうか?
(なので最近のブログはそんな話が多いのだ)
そこには、さまざまな匂いや感触が付随する。
蚊取りならば、もちろん昔は金鳥の渦巻き線香。
あの線香と今どきの化学的な蚊取りと、
どっちが体に毒かね?どっちもでしょうな。
さすがにワンプッシュでOKなどというタイプは恐くて使ったことがない。
蚊に刺された時の薬は、各家庭によって
ムヒ派、キンカン派、ウナ・コーワ派に
分かれていた。うちはムヒときどきウナ派だった。
たまに友達の家でキンカンを借りると、
その強い刺激と匂いに悲鳴をあげたものだ。
(爪で十字に跡をつけていたから余計に)
お風呂上がりのベビーパウダーの匂いとサラサラした感触は
何とも心地良かった。(シッカロールとか天花粉などと呼んでいたが、
シッカロールは和光堂の商品名であり、J&Jのベビーパウダーとは別商品なのだ)
それから、カーマインローションね。
日焼けした後は、母親が持っている資生堂のカーマインローションを
塗ることが許されており、何かちょっと大人っぽい行為のような気がしたものだ。
まったく日焼けに向いていない肌質なのに、
毎夏、屋外プールへ通い、海では無理矢理焼いて火傷状態になり、
パジャマやタオルケットがほんの少し肌と擦れるだけで激痛に悶え、
眠れない夜を過ごしたっけ。

肌のほてりが鎮まり、汚らしく皮がむける頃、
きっぱりと夏は終わったものだったが、
日焼け止めと虫除けで防御している今は
夏の終わりになんとなく締まりがない。




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