2012年6月22日金曜日

秋になったら

平日も家にいることが多くなった今、
イコール、スッピンでいることが多くなった。
素顔に自信を持ったわけでは、むろんない。
誰にも会わないからという、ただのものぐさである。
しかし気のせいか、化粧をしないほうが
肌はしっとりして調子が良い気がする。

どこにも行かぬと言っても、
近所のスーパーへの買い出しくらいは行く。
併設のドラッグストアに立ち寄り、
化粧品コーナーをぶらりとしていたら、
むっちり体型に巻き髪、濃厚メイクの
中年美容部員が声をかけてきた。
(中年の定義ってなんでしょうかね、自分も間違いなく
中年ではあるのだが、人のことを中年と呼ぶ時に、
自分はその圏外者として言ってるよな・・・)
過去に、この美容部員の前を、少なくとも50回は
通ったことがあるが、ただの一度も声をかけられたことはなかった。
なのに、どうした風のふきまわしか。
美容液のサンプルをくれるという。
「これ、日中のUV下地クリームに使えるの、
今から対策しておかないと、秋に大変なことになっちゃうから」
とソフトな恫喝をされた。
そうか、大変なことになっちゃうんだな。
ありがたく頂戴し、その場を去った。

入浴剤のバブ〜旅の宿あたりのコーナーにさしかかった時、
美容部員はわざわざ私を追っかけてきて、新たなサンプルを差し出した。
「それからこれ、敏感肌用のファンデーションがあるの。
ちょっとずつでもいいから、ね、このあたりから(エラ下の首あたり)
始めてみて下さいね」
「はあ・・どうも」

そうか。アタシはノーメイクだった。
家を出る時に鏡を見ていなかった。
いったいどんな顔してるの?
スッピンのほうが肌の調子がいいのは、やはり気のせいだった。
少なくともプロから見て敏感肌に見えるのだろうし、
化粧もせず平日に店をふらついているような女に、
なんとかまともに更正するよう説得を試みている、
追っかけてでも言わずにはいられない、ほっとけないわよ、
そんな雰囲気だ。
がっつりメイク派からしたら、
こちとら裸で歩いているようなものかもしれない。
まずは首からでも始めてみてって・・・。

人生を四季にたとえるなら、私は今、秋に入った頃か。
秋になったら大変なことになるから・・・
もうすでに大変なことになっているお年頃なのだ。

そんなことを考えていたら、家の電話が鳴った。
以前は常に留守電状態にしていたのだが、
今は仕事の関係かもしれず、なので取った。
「お近くにいい墓地ができたので、ぜひおすすめしたいと思いまして・・・」
アタシは秋だ。大変なお年頃ではあるが、冬はまだ先と思いたい。



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