2012年6月20日水曜日

スパイスレシピ実践レポート2

今日はレンズ豆のカレーを作ってみた。
某有名一般向け料理雑誌のバックナンバーに
のっていたレシピを真似てみた。
レンズ豆200g。ふむ。一袋全部?
多い気がしたけど、とりあえずゆーとおりに全部ゆでた。
想像通り、すごい量に増えた。
玉ネギやスパイスを炒めトマトを加え、
再びスパイスを入れそして先程の豆。
ウソでしょう、どー見ても多すぎるので、半分強程を加える。
そして10分煮る、とある。
え?液体は? トマトの水分だけで煮るのだろうか?
しかし、水気はろくにないボテボテ状態。
なので適当に水を足して煮た。
味は・・・おお〜、とても美味しくできた!
しかしねえ、このレシピ、間違っているよな。
豆の量と液体の書きもれ。
おそらく、豆のゆで汁も一緒に入れるのだろう、
しかしレシピには「豆を」としか書いていないし、
ゆで汁はあまり残っていないのでこれだけでも足りない。
豆を全部入れたなら、足りないどころの話ではない。

残った豆はどうしよう。
スープやサラダなどにしてもいいが、
わたしゃ古代エジプトの奴隷じゃないもので、
そんな毎食レンズ豆を食べ続けるのはキツい。
仕方ないので密閉袋に入れて冷凍しちゃおう。

この例に限らず、レシピ本や雑誌を見ながら作ると、
おかしい、と思うものが結構多い。
素材や季節、器具などの違いによる誤差はもちろんあるだろうけど、
そういうことではなくて、明らかに違う、というものだ。
果たして、世に出ているレシピの中で、
どれくらいが間違いのないレシピなのだろう?
どこの段階で間違えてしまうのか。

1.作り手(シェフや料理研究家)が間違った情報を編集者に伝える。
2.作り手のレシピは正しいが、編集者が聞き間違いやタイプミスする。

私の場合、作り手はシェフが大半であるが、
その経験からすると、正直言って1が多いと思う。
レシピと言えども、文章である。
書くことが苦手な人が書けば、間違いや不足が生じるのは当然とも言える。
書く代わりに話し、こちらが聞き書きすることも多いが、
完璧に話せる人というのはそういない。
そもそも、シェフたちは、長年の勘や、その時々での微調整などにより、
はっきりとした配合の数字を出していない人が多い。
そのため、きっかり何g何分と出すのがあまり得意ではない。
きっかり出すことで、かえって美味しさが伝わらない、と
考える人も少なくない。
「何gが大事なのではなくて、どんな状態に持っていくのか、
を自分自身の目と舌で見極めるべきだ」
などと言われる。
確かにそうだとは思う。
特にプロ向けの場合は、レシピ第一とは限らない。
そっくりそのまま料理を真似るためにあるのではなく、
イマジネーションを刺激し、発想のヒントになるための企画だったりする。
けれども、間違ったレシピでもいい、というのはおかしいだろう。

私も普段はレシピ本の配合を読んでそのまま作るようなことはしない。
しかし、例えば作ったことのないインド料理にトライするなどの場合、
最初のうちは何か指針が欲しい、やはり正しい基本配合が知りたい。
シェフではなく料理研究家の場合は、いったいどうして間違うのだろう?
むしろ、研究家たちはレシピこそが肝心要のウリであるはずなのに?

レシピを何かに掲載する場合、料理人(家)たちは
正確な計量と手順を出すことに努力してもらいたい。
もし、あえてきっかり出さずファジーな幅の中で作っていくべき料理
であるならば、その微妙さを正しく語れる言葉を持っていただきたい。

と、料理を作る人の責任を問うとともに、
こちら編集者側にも、相当の責任があることを自戒せねば。
先ほどの 2. 編集者が聞き間違いやタイプミスする。
これはアカンのは当然のこと、それだけでなく、
1.の作り手が間違ったレシピを出した際に、
それに気づかなければいけない。
豆が多すぎるのではないか? 液体が抜けているのではないか?
特に一般向けであれば、自分で作ってみて確認する必要もあるだろう。
あるいは、もし作らなくても、頭の中で作れるかどうかだ。
これは怪しい、と気づくかどうか。
あるいは、作り手の中にまだ閉じ込められている、
微妙な調理ポイントを聞き出せるかどうか。

一般向けのレシピ本は、いかに簡単であるかとか、
目先の変わった組み合わせで読者の気を引いているものが多いけれど、
そんなことよりも、本当の本当に研究された美味しい配合で
適切な作り方とその理由を明確に示してくれる本が欲しい。
いや、私が編集者として、誰かと組んで作りたいものだ。



中東料理の洋書(ってヘンかしら?でも英語の本なので)を取り寄せた。
家にジャガイモ、玉ネギ、テラスにミントとパセリがあったので、
というか他には何もなかったので、その本の中にあるイモサラダを作ってみた。
味つけは、オリーブオイルとレモン汁が同割、あとは塩、黒こしょう、
オールスパイス。例のスパイスサンプルに、なぜかオールスパイスがない。
仕方ないので、似たような香りってことで、
ナツメグ、クローブ、シナモンをちょっとずつ合わせて使用。
おお、旨いね、これは。ものすごく旨いという意味じゃなくて、
違和感なく普通に旨いという意味。
言われなければ中東料理とは思わないのではないか。
まあそもそも、中東料理といったらこういう味だ、という意識は
我々にはないかもしれないが。エキゾチック度がそんなに高くないってことです。
レシピの配合量はかなり多かったので、
それの半分で作ったのだが、問題なくできた。
これでいいのだ。

スパイスレシピ研究はまだまだ続く・・・。

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