2013年6月19日水曜日

ビワよ、おまえもか

死ぬ直前に食べたいものは?と問われたら、
私は「桃」と答える。
だいぶ前からこの回答を用意しておいたのだが、
待てど暮らせど誰もそんな質問はしてこない。

甘美な芳香とみずみずしさ、
強く咀嚼する必要のないとろりとした食感。
これで喉を潤したなら、
まさしく桃源郷へとゆけるのではないか。

我ながら「いいね!」なチョイスだと思う。
ところが、あれは5年前か、いや、もう10年近く前になるのか、
ある時、桃を1/2個くらい食べたところで、
喉がエグエグと(イガイガよりエグエグがしっくりくるのだ)痒くなり、
次第に扁桃腺の風邪を引いたみたいにどんどん腫れあがり、
耳の中も痒いような感じがし、更には両腕に発疹がドバッと。

病院でアレルギー検査をしたところ、確かに陽性反応が出た。
リンゴも半陽性らしい。
(そういえば、リンゴを1/2個以上食べると、
 なんとなく光化学スモッグにかかったみたいな
 息苦しさを感じたことがあった)

そ、そんなあ・・・私の桃源郷はどうなるのだ。
死ぬ間際であれば関係ないのだから、食べちゃえばいいか。
でも、最期の最期に喉が腫れあがって体中ブッツブツ、なんてイヤだ。

ちょうど今は梅仕事の時期だ。
私は、その年ごとの気まぐれで梅酒を作ったり作らなかったり。
で、一昨年気づいた。梅の実もダメだということに。
素手で触っていたら、両腕にブツブツができてしまったのだ。
梅酒は飲んでも大丈夫なのだ(あらごしタイプは若干怪しいが)。
桃もコンポートなどの加工品はOKなので、
どうやら生の実(特にうぶ毛のある皮)に
反応するような毛がする。気がする。

野菜や果物を食して喉がおかしくなったり、唇が腫れたりする、
そのような症状を口腔アレルギー症候群と言うそうだ。
以前は大丈夫でも、大人になってからあらわれる人が結構多いらしい。

今朝、朝食の最後に、いただきもののビワを1個食べた。
房総産で、とっても大きくジューシー。
手で簡単に皮がむけたので、そのままかぶりついた。
その後、ソファで新聞を読んでいたら、
どうも目がゴロゴロする。無意識にぐりぐり掻いていた。
おや、喉もどうも調子が・・・・
ああっ??ひょっとして?
腕を見るが、発疹は出ていない。じゃあ、違うのか。
けれども目はどんどん調子が悪くなってきて、涙があふれてくる。
鏡を見たら、ノックアウトされたボクサーになっていた。
燃えた、燃え尽きたよ、真っ白になってなもんだ。
真っ白にというより真っ赤だけど。
白目が葛桜の葛部分みたいに水ぶくれしていてキモイ。
こんな症状の出方があるのか?

ネットで調べると、やはりビワアレルギーであると確信した。
口腔アレルギー症候群の原因となる主な食材はバラ科やウリ科に属する
植物で、桃、梅、そしてビワもバラ科なのだ。
基本的には口腔症状だが、目にくる場合もあるらしい。
食べた後、確かに手は洗ったけど、ひょっとしてうぶ毛が残っていて
それが目に入ったのだろうか。

結局、眼科と耳鼻科に行き、目薬2種類と飲み薬の処方を受け、
今はなんとかおさまっているが、まいった、まいった。

バラ科には他に梨、アンズ、スモモなどがある。
どれも好きで食べたいのにぃ。特に梨は桃と並んで好物なのに。
死ぬ前に食べたいというより、それを食べすぎて
アナフィラキシーショックで死んでしまう恐れもあるかもしれないなんて、
なんと皮肉なことよ。

他にも口腔アレルギー症候群としてあげられている食材の中で、
キウイフルーツやクルミも、食べるとわずかに息苦しい気がする。
私の身体は、そんな美味しいものたちをどうして敵とみなしてしまうのだろう。

今年は梅酒を作る気になれないな。

そして、最期に食べたいものは?と問われたら、どう答えようか。






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