2013年6月6日木曜日

冷蔵庫が逝く


話には聞いていた。
以前、自分のブログでも書いていた。
http://yumikowatanabe.blogspot.jp/2012/09/10.html

ほんとうに、ある日突然、その日はやってきた。
わが家の冷蔵庫が死んだ。
購入したのは1998年。冷蔵庫の平均寿命は8〜10年程度らしいから
わが家の冷蔵庫は人間でいうところの100歳超え、
天寿をまっとうしたと言える。
だから壊れたというよりは逝ったのだ。

一昨日の夜、帰宅して冷凍室から氷を取ろうとしたら溶けていた。
保冷剤、アイスクリーム、うどん、パン、
フリージングバッグに入れておいたヒヨコ豆のペースト、
唐辛子のピューレ(レシピは『ちょいラテンごはん』を見てね)など
たいした量ではないが、しかしすべて溶けている。
ハッ!! もしや?
もしやも何も、もうすでにわかっている、
わかってはいるのだが、なぜか認めたくないという気持ちが働き、
ひょっとしてちゃんと閉めずにいたのかも、と思うことにした。
半ドアだとブザーが鳴るが、ブザーが壊れたのだと。
おそるおそる冷蔵室を開けてみると、軽く冷気を感じる。
ほらね、まだ大丈夫、生きてる。
今一度、冷凍室のドアを強く押し込んだ。
きっと一晩経てば回復するかも、ダメだとしても冷蔵室だけは
もうしばらくがんばってくれるよね、
と祈りつつ眠り、翌朝、開けてみた。

すべてが機能停止していた。
飼っていた大きな動物が死んだような感じがした。
しかし、生き物ならば「冷たくなっていた」となるのだが、
冷蔵庫の場合「生温くなっていた」。
すでに妙な臭いが漂っている。

そして、ペットと違うのは、
喪失の悲しみに暮れている場合ではないということ。
1日も早く新しい冷蔵庫を買わなければ、
不便な生活を強いられることになる。

昨日は朝から仕事で外出しなければならなかったので、中身を放置。
夜、家電量販店に立ち寄り、現金購入。
15年に1度とはいえ、突然の10万円出費はキツいですなあ。

最近の冷蔵庫は冷凍室の収量の大きさを自慢しているものが多い。
私はあまり冷凍術が得意ではないというか好きではないので、
そんなに大きくなくていいのに、と不服。
ましてや野菜室みたいに深いのって、
いったい何をどう入れるのだろうか、よくわからない。
底に入れたものは掘り出さないと見つからないのでは?
自動製氷も興味がない。勝手に作ってくれなくていい、
私には私なりの氷作りリズムがある(はず)。
という観点から、冷凍室が浅型2ドア、自動製氷なし、のものを選んだ。

帰宅後と今日の午前中までかかって処分・整理した。
幸い、生魚や精肉は買い置きしていなかったが、
お菓子作りに使おうと思って買っておいたバター2箱、
クリームチーズ、ヨーグルト(むむ、乳製品だらけだな)、漬け物等を捨てた。
それから蔵元の異なる要冷蔵品の甘酒3パック。
先日取材で訪ねた酒屋で売っていたもので、
父が甘酒好きのため、買っておいたのだ。
珍しく親孝行しようとすると、こんなハメに。

からっぽになった冷蔵庫。
もう役に立たない、捨てられるものではあるが、
15年もの間、私の胃袋を満たすのに貢献してくれた。
ありがとうの思いを込めて拭き掃除をした。
ああ、元気なうちに何でもっとこまめに
掃除してあげなかったんだろう。
新品の頃は、大切に使っていたはずなのに、
いつから雑な扱いになっていったのだろう。

そしてつい今さっき。新しい冷蔵庫がやってきた。
「15年、それはずいぶん長持ちしましたねえ」
「そんなに使っていたとは思えないくらいキレイですね」
という業者の人のお世辞に、エヘヘと軽くいい気になる私。
運搬用の厚い布にいとも簡単にのせられ、
廊下をススーッと引っ張られていく旧冷蔵庫。
「15年生きたのは自分の力であり、お前のおかげではない」
「さっき慌てて拭かれただけで、たいしてメンテナンスして
 もらった覚えはない」
という声が聞こえるような気がした。

新しい冷蔵庫よ、こんにちは。
しばらくは大切に使うだろうけど、またそのうちに
君のことは空気のような存在になってしまうだろう。
なのでどうか、自分の力で15年たくましく生き抜いて欲しい。
15年後、私はどうなっているのだろう。
更にその次の15年後、買い替える私はそこにいるだろうか。





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