2012年4月13日金曜日

アメリカンコーヒー

今、私は"アメリカン"について考えている。
どれくらい考えているかというと、
歌手のサーカスが
スカイ・ブルーの上空でコバルトの風になり、
feeling in America ♪ になるくらいである。
あるいは、杏里がマリン・ブルーのパーカーを着て
思いきりアメリカンになるくらいと言っても過言ではない。
ちなみに両者が異なるのは、
サーカスはあなたからのエアメールを受け取った側で、
杏里はあなたへ送った側であることだ。
ということは杏里がサーカスに送ったのか?

ともかく、私もアメリカン気分なのだ。
略さないでいうと、私が気にしているのは、
アメリカンコーヒーとはなんぞや?
ということである。

某コーヒーチェーン店でレジ前に並ぶと、
「アタシ、アメリカン」とオーダーする人たちを時々目にする。
どうも、アメリカンを注文するのは中高年(の女性)に多い気がする。
サーカスのファンだからということでは、
おそらくないだろう(何人かはいるかもしれないけども)。
「寝る前にコーヒー飲むと眠れなくなっちゃうのよね」
とか言う人に多い気がする。憶測ですが。

つまり、アメリカンコーヒーは薄めのコーヒー、というイメージがある。
量が多いので、お得感がある、というのもあるかもしれない。

改めて調べてみると、アメリカンに対する定義が
いろいろあることがわかった。
整理すると、こうなる。

アメリカの歴史において、
イギリスの植民地時代は紅茶が飲まれていたが、
1773年のボストン茶会事件を機にコーヒーが飲まれるようになった。
やることなすこと何でもビッグなアメリカである。
コーヒーもマグカップでがぶ飲みできるよう、
浅煎りの豆を粗挽きにし、多めの湯でたっぷり煎れるのが習慣となった。
苦味は少なく、酸味が強めであるのが特徴。
しかしそれを、アメリカ人たちはアメリカンコーヒーとは呼ばない。
ただのコーヒーである。
なれども日本人としては、アメリカで飲まれているコーヒー
=アメリカンコーヒーと呼ぶようになった。

日本において、そうしたアメリカ的な浅煎り豆を
アメリカンローストと名づけて販売する店が '60年代に出てきた。
このアメリカンローストで淹れたコーヒー、
それが日本におけるアメリカンコーヒーの発祥だとする情報もある。
ちなみに、世界的な焙煎度合の専門用語は、
最も浅い順からライト(ロースト)、それからシナモンで、
中煎りはミディアム、ハイ、シティ、フルシティ、
深煎りはフレンチ、イタリアンとなる。
アメリカンローストというのはシナモンとミディアムの間くらいで、
この言葉も日本独自だそうだ。

一方、別の方向性として、
アメリカで飲まれている薄めのコーヒーのイメージをもとに、
中煎りを薄めに抽出する、あるいは普通に抽出した
コーヒーを後から湯で割る、そうしたものもアメリカンと
呼ばれているのが現状である。
コーヒーの見識者?愛好家?たちはそのヘンが許せないらしく、
「アメリカンコーヒーはお湯で薄めたコーヒーだと
勘違いしている日本人が非常に多いが、それは大きな間違いだ!!」
と憤っている。

気になったので、某コーヒーチェーン店に聞いてみました。
すると回答は「中深煎りで淹れたコーヒーに熱湯を加えたもの」とのこと。
つまり、見識者たちの言う大きな間違いの方式を採っているのである。
しかしですよ、私は別にチェーン店から何がしか渡されて擁護するわけでも
なんでもないのだが、渡されればそれはそれでアレなのだが、
そもそもアメリカにはアメリカンコーヒーなるものは存在しない、
なのに「アメリカンコーヒーはそんなんじゃない!」って
ムキになるのもちょっとヘンでは?
「あの人はそんな人じゃないのよ」って言ったところで、
あの人なる人物はそこにはいないのである。
幻を愛したの、とここでまた杏里登場である。

手で1杯ずつ淹れるマスターがいる昔ながらの喫茶店では、
"アメリカで飲まれている浅煎りコーヒー" を忠実に
出しているかもしれない。
しかし、そういう喫茶店だと、
ナポリタンとか厚切りトーストなんて
いうのもメニューにあったりしますね。
ねえマスター(友情出演/清水健太郎)、そっちは邪道でいいのですか?

だいいち、アメリカのコーヒーは豆が浅煎りではあるが、
たっぷりのお湯で淹れている=薄いのもまた事実のはず。
「薄いのではなく浅い」じゃなくて「浅いし薄い」だ。
私の知識みたいなもんだ。
日本の軟水だと、浅煎りはより酸味が出やすいと聞いたことがある。
しかもたっぷりの湯で淹れていては、
ますます美味しくない味になる恐れもあるんじゃなかろうか。
薄めのコーヒーを飲みたいならば、
中煎り以上で濃いコーヒーを作って、
それを割ったほうが美味しいかもしれない。
そうそう、エスプレッソを湯で割ったカフェアメリカーノなんて
メニューもあるではないか。

ちなみに、カフェインの量は焙煎度合が深いほど少ない、よって、
浅煎りのコーヒーはむしろカフェインの量は多い。
けれども湯がたっぷりなら薄まるだろう。
逆に深煎りはカフェインが少ないが、焙煎でカサが減る分、
使用量は増えるので、実際には少ないと言えないかもしれない。
でも、チェーン店では中深煎りを割っているのだから
やはり少なめだろう。なんだかまたこんがらがってくるが、
オバサマたちはそのへんの事情を知ってオーダーしているのだろうか。
あるいは、feeling in America で、
思いきりアメリカンしたい時に飲んでいるのだろうか。




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