タイトルは『アメリカン・アペタイザー』
(著者/アンダーソン夏代 発行/アノニマ・スタジオ)。
宣伝は今月末発売の際にまた改めてしたいと思いまする。
こちらの本には全75品のレシピが載っている。
季節的に入手が難しかった2品ほどを除くほぼ全品、私は試作を行った。
著者は日本人の料理研究家なので日本の食材を理解しているが、
米国に長らく住んでおり、現地の材料や道具を使ってレシピを作成するため、
それを実際に今の日本で作って何か問題や相違点がないか、検証するというわけだ。
もちろん、もしも日本在住の人によるレシピであったとしても、
レシピの書き方に不備はないか、
同様に試作することに違いはないのだけれど。
試作ではさまざまな発見や驚きがある。
なかでも驚いたのがタイトルにあげている3種の素材。
かにカマ、これはアメリカではロール寿司に使われる人気素材だという。
いざ試作してみると、しかしこれがどうも指定された分量と合わない。
聞けば、アメリカのかにカマは長さ約14cm、1本約30gとのこと。
日本のものは、長さ約6cmで10g前後とだいぶ小さい。
自宅の近所のスーパーだけだとリサーチが偏る恐れがあるため、
同僚数人にも依頼、かにカマ調査隊としてさまざまなスーパーのものを
調べた結果である。
以前はアメリカと同様のロングタイプも出ていたらしいが、今は見かけない。
そもそもかにカマをこれまで自分で買ったことがない。
これほどまでにかにカマについて考察したのは人生初体験である。
「アラスカ」「オホーツク」「マリーン」「サラダかまぼこ」など
ネーミングもいろいろで、
コンビニでは、求めているかにカマとは少し毛色の異なる、
おつまみ用の太いかにカマ棒が売られていることも知った。
ズワイガニの脚をイメージして本物風にしたタイプも鮮魚コーナーなどにあり、
その商品名は、「かにちゃいまっせ」と偽物であることを完全に開き直ったものや、
「わたしはカニになりたい」と永遠に叶わぬ夢を求めるペーソス漂うものまである。
(昭和の方にはお気づきでしょう、「私は貝になりたい」をモジっているに違いないと)
いつの日か、私は青春を振り返る日が来るだろう、
ああ、あの頃、私は一瞬ではあるけれど、確かにかにカマに夢中だった、と。
続いてパン粉。
フライ料理を試作したところ、大量にパン粉が余った。
むむー、これはもったいないのではないか、なぜこんなにたくさん必要なのか?
ただつけて揚げるだけならば適量でもいいのだが、このレシピの場合、
パン粉にあらかじめドライハーブなどの味付けを加えるため、g数が必要だった。著者とやりとりするうちに発覚したのは、
アメリカと日本のパン粉はカサが相当に違うということだった。
同じ重さでも、アメリカのパン粉はそこまで大量にならない。
ということは、日本のパン粉は水分量が少なく軽いということだ。
そしてポップコーン。
今、日本でも人気のキャラメル・ポップコーンのレシピを載せている。
以前に一度試作した際、美味しくはできているのだが、
キャラメルの多さが気になり、著者に問い合わせていた。
が、配合はきっかり合っているし、作り方も間違っていない。
おそらくキャラメルの煮詰め方が弱いのでは、といった話に着地した。
しかし校了目前に再度作ってみて、やはりどうしても気になって仕方ない。
カロリーを計算してみると、2人前程度の量で1000kcalを超えている。
いくら甘々、ハイカロリーなアメリカンスイーツとはいえ、
これはどうなんだろうか。
砂糖やバターのあまりの多さに、日本人はビビって作らないのではないか。
今一度、著者に問い合わせをしたところ、
では、まさかとは思うがポップコーンのカサをはかってみようということになった。
著者はフロリダに住んでおり、日本との時差は14時間。
やり取りは日本時間の深夜または朝というパターンが多い。
そこで私は昨日の深夜、コンビニでポップコーン
(本当はコンビニでは売っていない薄味のタイプで作るが、
試作で使い切っていた、とりあえずカサを知りたいのでバター醤油タイプ)を購入、
パイレックスのパイントメジャーカップに指定の量26g分を入れてみた。
アメリカでは2パイント近くになるというのだが、
なんと、その約半分、つまり1パイントしかないではないか。
それで合点がいった。
甘々なのは当然だ、本来はこの倍量のポップコーンにからめるものなのだから。
結果、日本のポップコーンの場合は40gで、となった。
ギリギリセーフで修正が間に合い、ホッとしたのであった。
パン粉の場合と逆で、ポップコーンはアメリカのもののほうが
軽くカサが大きいということになる。
しかし倍の差があるとはすごいことではないだろうか。
日本のポップコーンはなぜにそんなに重いのか。
(アメリカのポップコーンはどれほどフワフワなのか)
そこまではまだ調べられていないのだが。
ポップコーンという共通認識のものであっても、
実はこれくらいの誤差がある。
人はみな、自分の常識で物事をはかるから、
なぜそんなことになる?そんなはずはないのでは?と、
なかなか相手の状況が理解しにくい。
だから、ましてや国レベルの政治経済問題なんぞ、
真なる理解に達するのは相当に難しいに違いない。
なんていうことまで、ポップコーンを前にして思うのだった。
そんなわけで、今年は多忙につき、
毎年恒例のひな人形出し ↓
http://yumikowatanabe.blogspot.jp/2013/02/blog-post_24.html
ができず、3月3日は過ぎ去った。
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