2014年3月4日火曜日

かにカマ、パン粉、ポップコーンをめぐる日米問題

昨日、レシピ本が1冊、校了となった。
タイトルは『アメリカン・アペタイザー』
(著者/アンダーソン夏代   発行/アノニマ・スタジオ)。
宣伝は今月末発売の際にまた改めてしたいと思いまする。

こちらの本には全75品のレシピが載っている。
季節的に入手が難しかった2品ほどを除くほぼ全品、私は試作を行った。
著者は日本人の料理研究家なので日本の食材を理解しているが、
米国に長らく住んでおり、現地の材料や道具を使ってレシピを作成するため、
それを実際に今の日本で作って何か問題や相違点がないか、検証するというわけだ。
もちろん、もしも日本在住の人によるレシピであったとしても、
レシピの書き方に不備はないか、
同様に試作することに違いはないのだけれど。

試作ではさまざまな発見や驚きがある。
なかでも驚いたのがタイトルにあげている3種の素材。
かにカマ、これはアメリカではロール寿司に使われる人気素材だという。
いざ試作してみると、しかしこれがどうも指定された分量と合わない。
聞けば、アメリカのかにカマは長さ約14cm、1本約30gとのこと。
日本のものは、長さ約6cmで10g前後とだいぶ小さい。
自宅の近所のスーパーだけだとリサーチが偏る恐れがあるため、
同僚数人にも依頼、かにカマ調査隊としてさまざまなスーパーのものを
調べた結果である。
以前はアメリカと同様のロングタイプも出ていたらしいが、今は見かけない。
そもそもかにカマをこれまで自分で買ったことがない。
これほどまでにかにカマについて考察したのは人生初体験である。
「アラスカ」「オホーツク」「マリーン」「サラダかまぼこ」など
ネーミングもいろいろで、
コンビニでは、求めているかにカマとは少し毛色の異なる、
おつまみ用の太いかにカマ棒が売られていることも知った。
ズワイガニの脚をイメージして本物風にしたタイプも鮮魚コーナーなどにあり、
その商品名は、「かにちゃいまっせ」と偽物であることを完全に開き直ったものや、
「わたしはカニになりたい」と永遠に叶わぬ夢を求めるペーソス漂うものまである。
(昭和の方にはお気づきでしょう、「私は貝になりたい」をモジっているに違いないと)
いつの日か、私は青春を振り返る日が来るだろう、
ああ、あの頃、私は一瞬ではあるけれど、確かにかにカマに夢中だった、と。

続いてパン粉。
フライ料理を試作したところ、大量にパン粉が余った。
むむー、これはもったいないのではないか、なぜこんなにたくさん必要なのか?
ただつけて揚げるだけならば適量でもいいのだが、このレシピの場合、
パン粉にあらかじめドライハーブなどの味付けを加えるため、g数が必要だった。
著者とやりとりするうちに発覚したのは、
アメリカと日本のパン粉はカサが相当に違うということだった。
同じ重さでも、アメリカのパン粉はそこまで大量にならない。
ということは、日本のパン粉は水分量が少なく軽いということだ。

そしてポップコーン。
今、日本でも人気のキャラメル・ポップコーンのレシピを載せている。
以前に一度試作した際、美味しくはできているのだが、
キャラメルの多さが気になり、著者に問い合わせていた。
が、配合はきっかり合っているし、作り方も間違っていない。
おそらくキャラメルの煮詰め方が弱いのでは、といった話に着地した。
しかし校了目前に再度作ってみて、やはりどうしても気になって仕方ない。
カロリーを計算してみると、2人前程度の量で1000kcalを超えている。
いくら甘々、ハイカロリーなアメリカンスイーツとはいえ、
これはどうなんだろうか。
砂糖やバターのあまりの多さに、日本人はビビって作らないのではないか。
今一度、著者に問い合わせをしたところ、
では、まさかとは思うがポップコーンのカサをはかってみようということになった。
著者はフロリダに住んでおり、日本との時差は14時間。
やり取りは日本時間の深夜または朝というパターンが多い。
そこで私は昨日の深夜、コンビニでポップコーン
(本当はコンビニでは売っていない薄味のタイプで作るが、
試作で使い切っていた、とりあえずカサを知りたいのでバター醤油タイプ)を購入、
パイレックスのパイントメジャーカップに指定の量26g分を入れてみた。
アメリカでは2パイント近くになるというのだが、
なんと、その約半分、つまり1パイントしかないではないか。
それで合点がいった。
甘々なのは当然だ、本来はこの倍量のポップコーンにからめるものなのだから。
結果、日本のポップコーンの場合は40gで、となった。
ギリギリセーフで修正が間に合い、ホッとしたのであった。
パン粉の場合と逆で、ポップコーンはアメリカのもののほうが
軽くカサが大きいということになる。
しかし倍の差があるとはすごいことではないだろうか。
日本のポップコーンはなぜにそんなに重いのか。
(アメリカのポップコーンはどれほどフワフワなのか)
そこまではまだ調べられていないのだが。

ポップコーンという共通認識のものであっても、
実はこれくらいの誤差がある。
人はみな、自分の常識で物事をはかるから、
なぜそんなことになる?そんなはずはないのでは?と、
なかなか相手の状況が理解しにくい。
だから、ましてや国レベルの政治経済問題なんぞ、
真なる理解に達するのは相当に難しいに違いない。
なんていうことまで、ポップコーンを前にして思うのだった。


そんなわけで、今年は多忙につき、
毎年恒例のひな人形出し ↓

http://yumikowatanabe.blogspot.jp/2013/02/blog-post_24.html

ができず、3月3日は過ぎ去った。






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