2013年11月17日日曜日

ただのウナギの頭

今日は美容院に行ってきた。
そこには2年程通っている。
30代のカップルの美容師が経営しており、
当初は一人がつききりでシャンプーから会計まで担当する方式だった。
つまり店内には最大でも店員2人と客2人だけ。
ガチャガチャしておらず、
他のお客との兼ね合いで待たされるようなこともなく、
繁忙なはずの日曜が直前のタイミングでも予約が取れ、
ここ大丈夫なのかしらん?とやや不安になりつつも、
私の担当のオーナーお兄さんの腕前はなかなか良くて、気に入っている。

しかし最近になって、若い見習いスタッフが入った。
お笑い芸人のサバンナの高橋って人にやや似た男の子だ。
静かにニコニコして、ちょっと気弱で頼りなげなタイプ。
そして今日は、更にもう一人、若い女子スタッフも加わっていた。
おや。人気が出てきたのか?
これで、次第に雑な扱いされるようになったらザンネンだなあ。
出会った頃は〜こんな日が〜来るとは思わずにいた〜♪
にならないよう祈るばかりだ。

しかしそれにしても、美容院でのトークというのものは
どこでもワンパターンなのだろう。
エリアのランチの店情報か、
この頃の天気について(暑さ寒さ、雨、地震)か、
時期によっては夏休み冬休みの予定。
こちらが広げている雑誌に出ている企画の内容をひろってか。
あるいは、「髪伸びるの早いですねえ」と言われ
「そうなんですよー」と答えるか。
つまらんのお。
美容師たちは、もう少し話術を磨く訓練をすべきではないか。
過去に通っていた美容院の担当者は、
トークが得意だと本人は思っているふうだったが、
ただ単にノリが軽いだけで、むしろそういうほうがタチ悪い。
アホらしい話にこちらが気遣って「ですよね〜っ」と
ノリを合わせたりしているのだから。
かといって、こちらから自分のプライベートの話をあれこれするのもメンドイ。
日頃おしゃべりな私だが、意外にも美容院ではなるべく雑誌に集中して
トークの気遣いをせずに済むように努めている。
まあ幸いにも、今のオーナーはペラペラしゃべりかけてくるタイプではなく
そこそこの定番話で済んでいるので、イライラはしないが。


前回行った際、その前日の天気が急転したという定番話の流れから、
私はその時、滅多に行ったことのない秋葉原にいた、
メイドカフェのメイドがビラを配っていた、と話し、
「メイドカフェっていったい何が楽しいんでしょうかねえ?」(私)
「わからないですよね〜」(オーナー)
という、たいして盛り上がらないキャッチボールが交わされた。
オーナーが何とはなしに、見習いサバンナ高橋に
「行ったことある?」とふったら、
意外にも「ええ、まあ」という答えが。それも何回かあるらしい。
ついでに、キャバクラもある、とまんざら嫌いじゃない様子。
へえぇ〜このサバンナくんがキャバクラねえ〜
オーナーも「そ、そうなの?」とびっくり顔(思わず手が止まっとるぞい)。
私は話を飛躍させ、じゃあいっそ、お座敷遊びなんかどう?興味ある?と聞いた。
冗談のつもりだった。
しかしサバンナくんは「ああ、できることなら経験したいですね」と真面目に言う。
オーナーが「いくらかかるかわかって言ってんの?」と呆れたように聞くと、
サバンナくん「わかんないですけど・・・10万とかですかね?」と
まるっきり見当違いでもなさそうな(私は知らないけど)、
なおかつ彼の立場からしたら不相応な金額をさらっと言う。
なんだろうかね、草食系の極みふうな男の子によるこの発言は。

今日のサバンナくんは、私のとなりの人の髪にパーマ液を塗りながら、
小学校の時の学芸会で、演し物がスイミー(レオ・レオニ作)だった
という話をしている。
「それで何の役をやったんですか? 」というお客の問いに、
「ウナギの頭です。ただの通りすがりみたいなもんです」
とサバンナくんはニコニコして答えている。

決して目立つタイプの人ではないのだが、
それこそただの通りすがりみたいなタイプなのだが、
何かこう、妙な印象を残すのである。ウナギの頭だもんなあ。



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