2012年12月15日土曜日

マタギ女とはんにゃともう中学生

年が明けたら初めての確定申告を迎えるため、
ちょっと聞きたいことがあり、家から徒歩圏の税務署へ行った。
近くにありながら会社員時代には一度も足を踏み入れたことのない場所だ。
予約はしていないため、30分程待たされた。
と言っても待っているのは私と、私の前にもう一人だけだが。
その人はどうも体調が悪いらしく、
個室で寝て待っているから早めに対応してあげて欲しいと
受付の人が内線で伝えている。
しばらくして担当の人が到着しドアを開けると、中から
「ああ〜ん、ちょっと待ってぇ」と悩まし気な女の声が。
ロシア帽をかぶり、肩から二の腕にかけて毛皮のついた
マタギみたいな服を着た、バッチリメイク50がらみの女の人が出てきた。
杖をついているのにピンヒールのロングブーツ。
飲み物はどこぉ? と虚ろな目をして自販機へ向かう。
まあ確かに最近ぐっと冷え込んではいるけんども、
ここは極寒シベリアの税務署ですか?
しかもそんなに具合悪い身体で予約なしに来て、相談したいことって何だ?
余計なお世話ではあるが。

私の担当は30、いや20代か、若いお兄さんだった。
芸人はんにゃの金田をもう少し丸くしたような感じ。
対応はそこそこ丁寧で悪くない。
が、e-Tax(インターネット確定申告)に関して、
「24年度の作成シートのダウンロードはいつからできるのか?」
という私の質問に対し、どういうわけか彼は
「ここに書いてある通り、1月16日から提出できますよ」と答える。
「あ、はい、なるほど。でも私がお聞きしているのは、提出日ではなくてね、
いつからシートに書き込むことができるのか、ってことです」
「ですから、16日から受け付けていますよ」
「ん? いや、そうじゃなくてね、私はホレ、初めてだから、まあeにするかも
決めてはいませんけども、もしe-Taxでやるとして、
不慣れで時間かかるかもしれないから、ヒマのあるお正月にゆっくり
打ち込みできたらいいなと思うので、それで、いつからシートを入手できるのか?
が知りたいわけなんです」
どうなんでしょう、私の言ってること、通じますよね?
そんなにおかしなこと言ってませんよね?
理解してもらえるよう、こちらは入手日が知りたい理由も
話しているというのに、
はんにゃ金田はあくまで16日提出スタートの一点張りなのだ。
もしも私が何か根本的に理解していないのなら、
そっちもちっとは違う表現してみたらどうだ?
何回かの問答の後、
「えっと。あの、全然わかんないんだけど。じゃあ何ですか、
シート入手できるのも16日から、そして提出も16日から?
そんな不思議な話ありますかね? 即日打ち込んで提出する人なんているんですか?」
と言ったら、あれ、はんにゃはムクれちゃった。
わけわからん。

結局のところ、年末にシート入手は不可能で(できるようにしたらいいのに)、
1月上旬に公開されるが、いつなのかはまだ発表されていないのだ。
じゃ、わかんないんじゃん。16日ではないんじゃん。
こういう時に、横浜弁ってじゃんじゃん出るんじゃん。

手書きの用紙の場合は、年明けてから取りに来るか、
電話すれば送ってくれるという。
ふーん、そういうものなんだ。
それじゃあ、年明け早々、用紙送ってくれコールがバンバンかかってきて
税務署も大変ですねえ、とねぎらったら
「いえ、去年まで行っている人にはこちらから郵送しますので」
と冷たく返された。
何、チミはまだスネてんの?
けどコチトラ初体験なのよ、知らんのよ。
私がお兄さんの立場だったら、
「初回はそのように手続きするが、次年度からは自動的に送られてきますよ」と
その情報も先に言ってあげるのになあー。

話を終え、個室から出ると、
受付前の長椅子で、大きな獣が横たわっていた。
よく見たら、さっきのロシア帽のマタギ女だった。
ミンクだかセーブルだかわかんないけど
マタギ服の上に更にボリューミーな毛皮のロングコートを
布団のようにかぶって寝ていた。
誰かお付きの者はおらぬのか?
かわいそうではあるが、ロシア帽とコートが一体化して顔がパッと見えないので、
「近頃の税務署はゴージャスですな」と
ラグと間違えて上から座る年寄りがいてもおかしくない感じだ。

私はその足で、すぐ近くのケータイショップに立ち寄った。
今、iPadミニを買おうか迷っており、
自宅のネット環境も含めた通信料に関するプランを聞いてみたのだ。
春にiPhoneを買った時と同じお兄さんだった。
彼は芸人の"もう中学生"みたいな口調で説明をする。
「じゃあ、これとこれはどこがどう違うのかなあ〜?って思いますが、
こっちの場合、(ペンで線を引きながら)ここからここまでですよぉ〜、
はい、でもこっちだとここからこれだけですよぉ〜という具合なんですねぇ〜」
いつもなら、幼稚園児扱いされているような奇妙な気分になるのだが、
つい先程、はんにゃに嫌われ、マタギ女を見た私には、
これくらいはたいしたことはなく、
むしろ、優しい丁寧な説明に心がなごみさえするのだった。




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