2012年8月16日木曜日

チーズ号


無人探査機「Curiosity」が火星に着陸して、その画像を流す。
すごい時代ですな。
ところで、Curiosityとは好奇心という意味だ。
なかなか良い響き&意味の言葉ですよね。
これまでの宇宙探査機にも、さまざまな名前がつけられてきた。
メッセンジャーとか、スプートニク、パイオニア、
ディーブ・インパクト、ボイジャー、ガリレオなどなど、
時代と行き先が何かごっちゃになっちゃってるけど、
まあともかく、それなりにふさわしい名前がつけられている。

先日、5km程離れた所に住む母から自転車を譲り受けた。
電動アシストつきを購入して、
これまで使っていたものが不要になったから、という。
好意はありがたいが、私が住む街はどこへ行くにも坂道で、
自転車を乗るのに向いていない。
そりゃ、ブルーノとかライトウェイとかの
こじゃれた自転車だったら、
坂道もなんのその、欲しいなあと思う。
しかーし。オカンのお古は、
かなり年季の入ったオンボロママチャリ。
しかもえんじ色・・・。
そのため、私から欲しいとは一言も言っていないのだが、
むしろ、いらないよ、と数回断ったつもりなのだが、
「あったら絶対便利だって」の一点張りなので仕方なく引き取った。

そんな訳で最初から可愛くない存在であるのだが、
この自転車に書かれた名前というかブランドというかを見て、私は脱力した。





私のようにフランス料理業界に関わりのある人間でなくとも、
このフランス語を理解できる人は結構多いのではないでしょうか。
フロマージュって。あーた、自転車のクセになんでチーズなんだ?

世の中の安物製品には往々にして意味のない横文字が
ロゴデザインとして使われている。
この自転車を製造する会社も、何かネーミングというか
飾りの横文字を入れようと考えたのだろうが、
で? で、どうしてFromageになったのだ?
どうせダサイにしても、HelloでもLoveでもLuckyでもHolidayでもPicnicでも、
なんかそれ相応の言葉があるでしょうに。
そのへんは使い古されていて使用できないとかなのか。
しかしそんな商標ってほどのものでもあるまい。
オリジナリティにこだわりたかったのか。
ひょっとすると、スマイルからの連想でチーズ、
チーズだとつまらないからフランス語にしたら、
という勘違いなエスプリを効かせてみたとか?

よく見ると、Fromageの下にはこうも書かれている。

 le choix

これは選択という意味である。チョイスである。
つまり、「チーズ   選択」と書いてある自転車である。
私はチーズは大好きだが、チーズ選択と書いてある自転車はイヤだ。
母はこの自転車が「チーズ」号であることは知らない。
それを訴えたところで、私の困惑はとうてい理解してもらえず、
そのことでさらに悲しみは増すばかりだろう。
チーズ号のせいで、親子断絶の危機にもなりかねない。


まあ、どうでもいいことだとはわかっている。
もし私がこれに乗っても、誰もロゴまで見ちゃいない、
見てもたいして気にもとめないってこともわかってる。
私が引っかかっているのは、人に見られる恥ずかしさではない。
(いや、厳密に言えば、もし盗難などで、警察とやりとりして
特徴を聞かれた際に、Fromageです、って言わねばならない
のだろうから、それは恥ずかしい。盗まれやしないだろうけど)
どうしてよりによってFromageにしたのか、ただただ、
制作者の意図が知りたいのだ。
深い意味なんてなく適当に、あるいは
何かに書かれていたものをそのまま写し取ったのかもしれないが、
そこまで意味のないネーミングって、
むしろかなり難しく勇気のいることだと思うのだが。

ちなみにもしCuriosityと書かれていたらどうなんだろう。
それはそれで困惑するかもしれない。
火星を見に行くからCuriosityでいいけれども、
近所を走るのに、好奇心って、ウザイ。
だったら、自転車としてふさわしいネーミングってなんだろうか。


0 件のコメント:

コメントを投稿