2014年4月16日水曜日

特別な意味

着なくなった洋服をさほど迷うことなく捨てられる人とそうでない人がいる。
私は後者だ。
断捨離したいと思いながらも、何年も前の服が捨てられない。
加えておそらく物持ちがいいほうなので、
着ていない服だけでなく、ずっと着ており捨てられない服も多い。
特に、家で着るカットソーとかTシャツのたぐいは、
ヨレヨレになってきたくらいが着心地が良いのである。
「あなた、その服で電車に乗れますか?」を
捨てるか捨てないかの目安としたら良かろう、と思う。
思うのだが、「乗らなきゃいいのさ、ハハン」とすぐに開き直る。
「あなた、その服で宅配業者の訪問に出られますか?」が身の丈基準か。
(おかしな格好はエプロンで隠すという技もあるのだが)

物持ちの良さは、こんなところにもあらわれる。


詰め替え容器、ずっと昔のものをくり返し使用してきた。
久しぶりに容器ごと購入してみたら、
デザインの今昔に感慨もひとしおである。
ロゴの書体も変えてしまうものなんだなあ。
前のほうがふんわり感が表現されていていい気もするのだが、
野暮ったいってことなんだろう。

しばらく見ていると、「アクロン」ってどういう意味なんだ?と気になってきた。
ライオンのホームページを見たら、
「特別の意味はないが、当時、化学繊維が増えつつあり、
化繊の代表としてアクリルとナイロンから生まれた造語」だとある。
特別の意味はないが、と言っちゃうところがライオンさん、すごいねなんだか。
アクリル+ナイロンが商品名だと知ると、
 アクロンなら毛糸洗いに自信がもてます〜♪ by 小堺一機
は、ウール100パーに対しても自信もてるの? とやや心配になるが。
一方、柔軟剤「ソフラン」はソフトでランランな気分から、だそう。
こちらの場合は、特別な意味があると言えるのか否か。

昔のアクロンと今のアクロン、パッケージもロゴ書体も変わっているのに、
アクロンというものに対しての消費者のイメージは変わらず、
買う時に迷うこともない。
私たちは何をもってしてアクロンはアクロンだと見分けているかというと、
おそらくはその名前とピンク色にある。
アクロンたらしめるに最も重要である名前が、
しかし特別の意味はない、のだ。

その昔ポピュラーだった「エメロン」、これもライオンの製品だが、
こちらは女性的なイメージから宝石のエメラルドを取って、
「エメラルド+ライオン」でエメロンになったらしい。
しかしライオンの面影は「ン」しかないではないか。
なんでロンなのだ。「観音(かんのん)」のような連声的変化か。

洗剤の「トップ」は常に最高の洗浄力を目指すから、
キッチンペーパーの「リード」は一歩先行くキッチンライフからと、
ライオンには頂上系のネーミングもしばしば見られる。
いま、もし最新の洗剤が出るならば「レジェンド」、
ペーパーなら「KAMI(神)」あたりはどうか。
と思ったが、洗剤の「アリエール」(P&G)は
ヘブライ語で「神」の意味なんだそうだ。
ああそういえば生理用品で「Megami」(大王製紙)もあるのだった。


洗剤のCMで、汚れ落ちを比較するパターンが昔からある。
(ライオンの競合、花王のアタックなど)
あれを見るたび、JAROに言いつけてやりたくなる。
自社従来品はまるで汚れが落ちていないのである。
少し前まではその製品で「真っ白になる」と宣伝していたはずなのに、
過去のものとなった途端、黄ばみだらけの仕上がりを悪びれもせず見せている。
詐欺にはならんのですかね? 
と、そんなくだらないところに憤慨する自分は
なんて生真面目で小さい人間なんだろうと、
洗剤CMのせいでなぜかムダに軽く落ち込む。


ところで、衣類の洗濯表示に、40℃などの温度表示がされている。
私はこれが適正温度だと長らく思っており、
しかしそうではなくて、限界温度だと知った時にはちょっとした衝撃だった。
衣類から話がそれるが、ごく最近に知ったことで同様に驚いたのは、
掃除機のコードの黄色テープの意味だ。
赤色はコードの限界、黄色は間もなく限界を知らせるものとばかり思っていた。
しかし、テレビのバラエティ番組で、
実は黄色の意味は「電気コードをここまで出してください」だと言うのだ。
電機メーカーの人がインタビューにそう答えている。
コードを充分に引き出さずに掃除機をかけると、
内部で熱を持ってしまうのだと。
その事実に驚くとともに、それならばなぜ、黄色(=注意信号)を
採用したのだ?という疑問がわいたのだが、
テレビの取材ではそこには触れていなかった。
ここまで出しましょう、なら青色のほうがふさわしいのではないか?
テレビはどうしてそこんとこ、突っ込んで聞かないのだ〜??

気になって仕方ない私は、自分の掃除機のトリセツを見てみた。
「黄マーク以上出さないでください(断線の原因になります)」
どういうことだ。
黄色は限界の印ではないか。
ここまで出してくださいとはどこにも書かれていないぞ。
メーカーによって解釈が違うのか?
限界なのであれば、なぜ黄色ではなく赤色にしないのか。
黄色がストップならば、じゃあ、赤色まで出すとどうなるのか?
赤色については・・・何も触れられていない。
何かよほど、特別な意味があるのだろう。



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