2014年9月21日日曜日

ロールプレイング

一昨日と昨日の2日間、私は↓こちらへ取材に行っておりました。

http://www.fbo.or.jp/?p=1005


セミファイナルに残った24名の唎酒師が、
ロールプレイング審査とプレゼンテーション審査により10名にしぼられ、
決勝では、同日開催された日本酒祭りに来ていた人たちも見学ができる
公開審査により、世界一の唎酒師が決定されるというもの。
私はこの団体の会報誌の編集を担当している。
そのため、仕事を差し置いて詳しい内容をここで書いてしまうわけにはいかない、
よって、まあ、脱線話を少々。

ロールプレイング審査とは、会場にテーブルや椅子を設置して
客席に見立て、お客(審査員)からの質問に対し、
的確に(更にはより気の利いた内容で)答えられるか、
会話をしながらもサービスする手や動きはスムーズか等が審査される。
私は24名全員の審査を見学したのだが、
お酒に関する説明やサービスは比較的できているのに対し、
お客を迎え入れて着席させ、メニューを渡すといった一般的な接客が
今ひとつな人が目立ったことが気になった。
おそらく西洋式のレストランよりも居酒屋などで働いている人が多いのだろうな。
椅子を引いたり女性を優先するなど、日頃行っていないのだろう。
しかし場の設定はナイフフォークが並び、ワイングラスに酒を注ぐレストラン仕様だ。
世界大会であるため、アメリカやアジア圏から来た選手もいて、
さすがに彼らはそのへんのことは慣れた所作だった。

決勝大会の公開審査においても、同様のロールプレイングが行われた。
壇上でスポットライトを浴び、大勢の観客が見つめるなか、
彼らの心境を想像すると、こちらまでドキドキしてくる。
せめて観客の眼光2つ分だけでも減らしてあげたくなり、
メモ帳に視線を落としてしまう。

だって、アタシも経験があるんだもの。
(ポアポア〜ンと白い煙インサート、回想シーン)
あれは、某ファミレスのアルバイト。
まだ私が制服のミニスカートのワンピース(7号サイズ)を着られた時代。
社内規模ではあったけれども、サービスコンクールが定例で行われていた。
客席で接客を担当する係と、店内誘導及びレジ係のペアで各店舗より出場し、
地区予選からスタートして、最後は全国大会へと勝ち進んでいく方式。
私が勤務していた店からは、
レジ係はいつも冷静沈着なベテランのN先輩、そして接客係は
どういうわけか私が出ることになってしまった。
指名したのは、地域の店舗数店を統括するDM(ディストリクト・マネージャー)だ。
決して私のサービスが秀でていたわけではないので、
コンクールでも度胸がありそうだというその一点だけで買われたのだろう。


ちがうちがうそうじゃそうじゃない(by鈴木雅之)
その一点とはどこにもありはしない、勝手なイメージだ。
当時、ロールプレイングなんて言葉も知らなかったが、
そんな寸劇みたいなことを人前でやるなんて、とんでもハップンなんであるよ。
しかも、勤務していた店は、過去にそのコンクールでそこそこいい所まで
行った功績があり、そのプレッシャーまでかけられている。


細かいことは覚えていない。思い出したくないからかもしれないが。
覚えているのは、お客から「タバコを買ってきて」と言われたこと。
私はどこまでの演技をすればいいのかよくわからず、
本当にそこに自販機があるとイメージして、
小銭(もちろん実際には何もない)を入れて、銘柄をちょっと探すフリをし、
ボタンを押し、下から取り出す細やかなパントマイムをしたのだが、
周囲で見ている審査員たちになぜか失笑された。
次に「店長を呼んで」と言われ、しかし店長は不在ということになっており、
私は自分で何とか対応しようとしたが、うまくいかなかった。
(名前と電話番号を書いてもらい、後ほどご連絡しますと言えばよかったらしい)
隣町の店舗でこの審査が行われたのだが、
同じ店のバイト仲間がその他のお客役というシチュエーションで周りの席に座っており、
何がイヤって、身内に見られていることが恥ずかしくて
すっかりテンパってしまったのだった。


敗退後、DMは私に「ワタナベがあんなにあがるとは思わなかった」と言った。
ちなみにこのDMは別のある時、「ワタナベは将来どんな仕事に就きたいのか?」と
聞いてきたので、「編集者になりたい」と答えたら、
「フンッ。現実はそんな甘いもんじゃないよ」と鼻で笑われた。
いろんな意味で、人を見る目がないDMであった、ということになろーか。




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