2014年7月17日木曜日

めぐり逢わせのお弁当






インド映画『めぐり逢わせのお弁当』試写会に行ってきました。

以前に行った試写会も、やはりインド映画でお弁当をテーマにしたものだったけれど、
↓ 

http://yumikowatanabe.blogspot.jp/2013/05/blog-post_25.html


スタンリー〜は子供たちのお弁当物語であるのに対し、
今回の映画は大人の男女の物語である。


http://www.lunchbox-movie.jp

これ、なかなかおもしろかった。
あらすじはHPをご覧いただければだいたいご想像つくと思う。
夫が冷たく、孤独を抱えている30代くらいの主婦。
妻を亡くし、早期定年退職を前にした孤独なサラリーマン(経理担当)の男。
誤配送された弁当を介して手紙をやりとりするようになる。

映画のパンフや告知ビデオ等では
「誤配送の確率はたったの600万個にひとつ」をキャッチフレーズに
奇跡の出会いを強調しているけれど、そこははっきり言ってどうでもいい。
むしろそこを強調されると、現実にはあり得ないんじゃんと興ざめする。

単に男女の密やかな恋愛沙汰、情事の物語というのではない。
手紙をやりとりするなかで、より一層、孤独な自分を見つめ直すようになる。
それがいいのだ。
例えば、いよいよ実際に会おうとなった時、
男は自分の加齢臭にふと気づき、会うのをためらう。
待ち合わせのランチの店には行くのだが、
ソワソワとして男を待つ、まだ若く美しい主婦を遠くから見て、声をかけずに終わる。

意を決して店にでかけるまで、
主婦が映る場面のほとんどは、キッチンで料理をしているか、
洗濯機の前で夫の洗濯物の匂いをかいで浮気を確信しているか、
夫と互いに背を向けて寝るベッドの上か、
ダイニングテーブルで手紙を見ているか、だ。

一方、男のほうは、会社のデスクか、昼飯を食べるテーブルか、
通勤の満員電車、そして一人暮らしのマンションでタバコを吸うベランダ。

その小さな世界で、メールと異なり1日1通しかやりとりのできない手紙に
書かれた言葉を反芻するようにして、これまでの人生とこれからや、
自分の性格について考える。
いろんなことを、変えてしまいたいような、でも変えられないような。

そうした心境を丁寧に描いているのが良かったのと。
料理も興味深い。個別に入れたおかずをタワー式にセットするお弁当箱。
食べる時は1枚のプレートにおかず各種を取り出して混ぜながら食べるのが、
いかにもインドらしい。
『SPICE CAFEのスパイス料理』にも載せているチャパティ、
これをガスコンロに直置きしてプクーッと焼くシーンがある。
私は本のレシピを全品試作した際、ほとんどが問題なくできたのだが、
このチャパティ(とインド式フライドオニオン)だけは、
なんとか及第点か?という感じで、納得のゆくものはできなかった。
映画では、真ん中が見事に膨らんでいたが、
私が作るとどうもイマイチなのだ(忘れていた悔しさ再び。また挑戦するぞ!)



2人以外にこの映画でいい味を出しているのが、
主婦が住むマンションの上階に住んでいるおばさんと、
男の部下(退職した後を引き継ぐ若者)だ。
おばさんはいつもキッチンの窓辺から聞こえる声だけで姿は見えない。
主婦が料理をしていると、その匂いで足りないスパイスを言い当て、
適当な量を鍋に入れようとすると、まるでそれを見透かすかのように、
正しい量をアドバイスしたり。
部下はドジでお調子者で、男が食べている弁当を分けてもらうなど厚かましく、
イラッとさせる存在なのだが、満員電車の中でアタッシュケースを開き、
そのケースの中で野菜をみじん切りにするとか、ちょいちょい笑わせてくれる。
男も最初は毛嫌いしているが、少しずつ心を許していくのである。


8月9日より、シネスイッチ銀座などで公開だそうです。




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