2013年9月14日土曜日

エルサレム旅日記6(終)

エルサレム旅日記1
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エルサレム旅日記2
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エルサレム旅日記3
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エルサレム旅日記4
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エルサレム旅日記5
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9月7日(土)

旅も終わりだ。
帰りの飛行機は12時20分発。
たまたま、記者氏はトルコへオリンピック開催地選考結果発表の取材に行くことになり、
イスタンブールまで同じ飛行機に乗ることに。
空港での出国審査が心配だったので心強い。
彼のオフィスのスタッフが車で空港まで送ってくれるし。

いつものようにホテルの部屋の窓を開けると、
今日は裸男はいなかった。
さよなら。


出国審査の第一関門は空港の車用ゲート。
もしここでスルーできても空港内で確実にチェックがある。
逆にここで車から下ろされ、わきにある小屋で検査を受けたならば、
荷物にシールが貼られ、空港内での細かいチェックはパスになる可能性が高い、と記者氏。
そうか、ならばとっととここでやってくれたらいいかもしれない。
と、心の中で願ってしまったせいなのか、3人とも下ろされ、
パスポートとケータイを取り上げられる。
ライフル銃をぶら下げた兵士が、
ミッフィー人形がついた私のアイフォンを手にしている。
コワイんだかカワイイんだかよくわからない。

一人ずつ順番に小屋に入る。
スタッフ、記者氏、そして私は一番最後だった。
スタッフはパレスチナ人だ。
そのため、ここでチェックされるのは必然のことだった。
彼は淡々と受け入れているように見えるが、
その心中を想像すると、私は哀しくなった。

呼ばれてなかに入ると、記者氏もそこにいた。
私一人ではさすがにかわいそうと彼らは思ったのだろうか?
荷物を検査機に通している間は椅子に座っていろと命令される。
ゲートを通る身体検査、そしてまた椅子に座れと言われた気がして座ったら、
記者氏が「いや、スーツケースを開けろと言ってる」。
あら、やだ、えへへ。間違えちゃった。って、
へらへら笑っている場合では全然ないね。

探知機?で中を探られる。特に火薬類がないか調べているらしい。
コワイというよりも、中身をぜんぶ出せとか言われたら
なんだか恥ずかしいなあ、と思う気持ちのほうが勝っている私。

なんとか第一関門を突破。
61と書かれたシールをペタペタと貼られる。
さあ、どうよ、私は61で合格した人間だぞ。
もう文句は言わせないぜ。

空港内の荷物検査の機械の前に並ぶ。
一般的には、ここで、いわゆる質問責めに遭い、
人によっては機械を通すチェックだけでなく、別のスペースに連れて行かれ、
スーツケースの中身を入念に調べられるという。
しかし私は61番合格者だ。
検査官は小さい(歌手の)プリンス風。
私と記者氏のパスポート2冊を手にして、
それを何度も何度も意味不明なくらいにめくりながら、
どれくらいイスラエルに滞在していたかだとか、質問してくる。
2冊一緒に持っているもんだから、しまいにはたくさんスタンプが押された
記者氏のパスポートを見ながら、その内容を私に質問してきたりして、
このミニプリンス、使えないヤツではないか?という気がしてきた。
その後も、何かいったん機械の裏にいる上司らしき人に判断を仰ぎに行っては
またもどってきて一つ質問し、またあっちに行って、をくり返す。
ヘンなの。パスポートにまた違うシールを貼られる。
機械を通し、記者氏は終了。やはり61番が効いているようだね。
そして私も・・・

あっちへ行け!と奥の検査コーナーを指示された。
ああ無情。61番効果なし。
Why? と言っても、首をヨコにふられるばかり。

スーツケースの中身を、先ほどと同じような棒状の探知機でしつこく探る。
今度は小分けした荷物一つ一つを開けてその棒を突っ込む。
いやだなあ、化粧ポーチから下着入れまで全部だよ。
お土産の中から怪しいと思われるスパイスや、充電器などを別にはじいて、
それはそれでしつこくチェックする。

なんとか終わり、さあもうこれでOKね、と思ったら、
今度は手荷物チェック。記者氏はパスだが、私はつい立ての裏へ呼ばれる。
スーツケースの重量がオーバー気味だったので、手荷物にバスソルトをいくつか入れていた。
スパイスのようなただのビニール袋ではなく、
ちゃんと商品としてパッケージされたものだ。
それを持ち込めない、置いて行けと言うのだ。
あたしゃ、いい加減キレてしまいまして。
ナンデナノカ? ナンデコレモンダイアル? ワタシワカラナ〜イ、
ワタシイヤダ、ダタラスーツケースモテコイ、コレソッチイレルヨ。
という感じに相手には聞こえているだろうが、訴えた。
すると、3人の担当者が集まって、どうのこうのとヘブライ語でやり出し、
最終的には、OK、ハバナイストリップ!! と言われた。
何がハバナイストリップじゃ。ふん。

記者氏いわく、首相と同じ飛行機になった時レベルのチェックでしたねえ、とのこと。
あたし、峰不二子と間違われたのかしら。
3時間前に着いているのに、もう買い物する時間はあまりなくなっていた。

しかし、続きはまだあった。
パスポートコントロールで、担当者は、私のパスポートを見て、私を見て、
パスポートを見て、私を見て、パスポートを見て、私を見て・・・・を
10回以上くり返した。私はどんな顔をしていればいいのかわからない、
あまりにしつこいので、モデルみたいに1カットずつ表情を変えてみたくなった。
そして、となりの壁をたたき、もう一人が顔だけ突き出して、
二人がかりでパスポート&現物の見比べを始めた。
ああそうですよ、私のパスポート、自分で言うのもなんだけど、
かなりいい感じに撮れているんですよ。
そして今の私は、飛行機の長旅に備えてノーメイクだ。
「他に顔写真のついた身分証明証か何か持っていないか?」
車の免許証があったのでそれを差し出す。
免許証の写真は非常にダメな感じで私は気に入っていない。
「OK」
1秒でパスとなった。
心が折れました。

「そんな違うかねえ?なんかおかしい、今の私の顔?」と記者氏に聞いたら
私の顔を見ることなく「別に・・」と言われた。
もう、悟るより他ない。


帰国し、最初に知ったニュースは、オリンピック開催地が東京に決まったこと、
そして、記者氏が配信した、イスタンブール敗れる、であった。

スーツケースを開けると、知らないボールペンがそこにあった。
空港の検査官の置き土産である。










4 件のコメント:

  1. ムシャりん2013年9月15日 22:40

    ■なべさま、おもしろかったよー。やっぱり空港は鬼門だね。そういえば、私も、夜中の12時頃にテルアビブ空港に着いてさ、オレンジ色に輝く月と、イスラエルの国旗を見ながら、植込みの横のベンチで野宿したのを思い出したよ。また行きたくなった。嗚呼、なべさまと行きたかった。おいしそうな写真もいっぱいでじっくり拝読しました。ヴェローナなの訳ありおじさんとは、運命の出会いだったのかもしれないのに…。

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    1. ムシャりん、ありがとう! ええ・・野宿? すごいことしてるねえ、まったく。
      おじさんは、運命の出会いではないと思いますっ!

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  2. 面白かった!なんだか旅行本を読んでいる様でした…次回作はぜひタイで(笑)
    しかし、なべちゃん英語出来るんだね!
    高校時代、グラマーの先生にうるさいから校庭を走って来い(完全にとばっちり)って言われてたのにね。 byやごりん

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    1. ありがとう、やごりん。できないから珍道中なんじゃん!!
      未だ、砂をかめばかむほどThe比The比を活用できないよ。

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